【ゼミ校外実習座談会】18KS平山恵ゼミ

取材日:2020/10/29

平山恵ゼミの学生(18KS)に、2019年12月23日~2020年1月5日にエジプト、レバノンに行った校外実習についてのお話を伺いました。

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校外実習の事前準備

H.T.:現場調査を軸とするゼミなので、それに向けた準備を中心的に行いました。具体的には、ゼミ生10名を2つのチームに分け、今回の校外実習の調査テーマである「教育」と「栄養」の調査票をそれぞれ作成しました。他には、現場調査の受け入れ先へのアポ取りをゼミ生で分担して行いました。

またアラビア語必修のゼミなので、早い人は夏休みに学外の講座を履修し、2年秋学期からは明学のアラビア語の授業をゼミ生全員が受講しました。加えて、エジプトの方言(アンミーヤ)対策として、外部の講師をお呼びして方言に関する授業をしていただきました。

A.K.:栄養チームは、SEKEMの人たち、ヘリオポリス大学の人たち、シックスオクトーバーを含め一般の人たちを比較するため、教育チームは、SEKEMとEJS(日本式教育)を取り入れてる学校の違いを調査するために、準備をしました。

結論的に言うと、どちらのチームも、準備期間が十分じゃないまま現地に行き、現地でもドタバタしてたので、質問の意図が上手く伝わらなかったり、調査票を書いてもらっても、穴空き状態で回答されたり、票数が集まらなかったり、現地調査をする難しさを痛感しました。

SEKEM

F.T.:SEKEMはエジプトにあるエコビレッジです。エコビレッジというのは、人間の活動が自然界に害を及ぼすことなく溶け込んでいるヒューマンスケールの集落です。エコビレッジは世界中にありますが、SEKEMは大学を作ったという点がかなり特殊で、平山先生もそれに注目していたため、今回の実習先としてSEKEMに行く事になりました。

A.K.:共同体の中では、会社や学校、農場、病院等が運営されていて、その中で完結するようになっていました。優しい育て方で作られたオーガニック製品がレストランで販売されていたり、適切な労働環境があったりと、まさに「地球一優しいコミュニティ」でした。

 

M.S.:私は、SEKEMSchoolの教育がとても印象的でした。幼い子が使う遊具が全て木で作られていたり、芸術の授業を通して数字を教えるなど、人間性を育むドイツのシュタイナー教育に似た教育がされていました。日本との教育とも、エジプトの教育方法とも異なっていて興味深かったです。

A.K.私は宗教観が印象に残っています。クリスマスの日に訪れた時には、イスラーム教的な発表の後にキリスト教の聖歌の発表がありました。それを見て、どの宗教も尊重されているのだと感じました。

A.M.:私は、毎週金曜に村の人が大きな石の所に集まる集会が印象的でした。全員で円になって、最近の情報をシェアしたり、村のルールを再確認したり、人との繋がりを大切にするためにやってるそうです。最後に参加者が手を繋ぐ時に、平山先生も輪の中に入っていました。

A.K.:SEKEMは、首都カイロからかなり距離があるため、エジプト国内でもSEKEMの知名度は低かったのですが、海外の人で、カイロ中心部からSEKEMのある郊外へ引っ越してまでSEKEM Schoolの教育を子供に受けさせる人もいるようです。

H.T.:政府との関係的にあまり表立って活動できない部分があるので、あまり知られていない部分もあると思います。作られた製品はSEKEMの名前で出されるのではなく、別のブランド名使われていたりします。例えば、茶葉などは「iSiS(イスィス)」の製品として売られています。

▽シックスオクトーバーについて

S.O.:エジプト人の健康調査のために、シックスオクトーバーという町の大きなショッピングモールに行って、アラビア語が書かれたアンケート用紙を渡して調査したのですが、口頭でも質問しました。

口頭で質問したって言っても、私たちのチームは誰もアラビア語ができなくて…。英語が通じる人には自分たちで聞いたのですが、もちろん、現地の方の全員が英語を話せるわけではなかったので、現地の方に通訳をお願いしました。通訳をお願いした人は、インターシップでエジプトに来てる明学の先輩と、そのお友達の方でした。

正直、調査の準備が満足にできたわけではなかったので、完璧な調査だったかと聞かれると、そうではなくて…。特にアラビア語ができなかったので、表面的な回答しか聞けなかった事が心残りですね。

▽孤児院

H.T.:平山先生がここで働いているJICAから派遣された日本人職員の方が知り合いだったので訪問しました。ここでの活動は主に、孤児院の現状をお聞きするとともに、保育園児くらいの子供たちと交流させていただきました。

M.S.:この施設の職員の方は特別な免許を持っている人ではなく、近所に住んでいる子供の面倒が見れる人がやっているようです。

A.K.:孤児院の運営は大変だというイメージがあったのですが、イスラームの教えで「困っている人に富を与えなさい」という教えがあるので、近所の人から物やお金が集まってくるという事を職員の方が教えてくれました。日本とは孤児院の受け入れ方が違うみたいです。

H.T.:僕は、明学の「カンボジア教育支援団体ぽけっと」というサークルに2年生まで所属していて、カンボジアの孤児院に行った事があります。もちろん、カンボジアで訪れた孤児院やエジプトで訪れた孤児院は1つの例でしかなく、一般化する事はできないのですが、両方の孤児院の違いを感じました。

具体的には、どちらも英語以外の言語が現地語なので、言語的にコミュニケーションを取る難しさがありますが、どちらかと言うと、今回訪れた孤児院の方が子供たちと接する事を難しく思いました。それは、宗教的な理由が大きいのかなと考えています。

僕は男性なのですが、イスラーム圏では「女性がみだりに男性と接する事」が禁止されています。ですので、子どもは男女混合で遊んでいましたが、僕たち男子学生がそこに混ざると、現地の職員の方が良くない表情をされていました。過去のつらい背景も相まって私たちと気兼ねなく遊ぼうとする子供たちと大人の方々の想いとの間で、どう接すべきか悩みました。

それから、孤児院から子供を引き取った家が孤児院の近くにあったのですが、職員の方はその家に対して不安があるようでした。イスラーム圏では、女性の部屋を簡単に見せてもらう事ができないので、子どものケアをしっかりしているかチェックし難いそうです。

このような、宗教的な側面も考慮する必要がある中で、孤児院の子どもと接する事の難しさや、子どもたちの生活を見守る難しさなどを痛感しました。

▽赤十字社

M.S.:日本赤十字社の活動内容と、レバノンの難民のお話と動画を見せていただきました。難民が多いレバノンという国で、それを身近に体験している方の「難民の子どもたちが一番辛いと感じているのは勉強ができない事だ。」という言葉がとても印象に残りました。勉強したくてもできない環境にいる子どもたちがたくさんいる事を痛感しました。

H.T.:赤十字というと医療関係というイメージを持っている人が多いと思うんですけど、それ以外にも別の活動をしているという事を知りました。教育が行き届いていない状況で、図書館みたいな場所を作って、子どもたちが勉強できる環境を作っていました。

現地で会った日本人職員の方は、看護師の方2名と医療分野の勉強をした事がない方でした。

A.M.:赤十字社とは少しずれますが、レバノンにはちゃんとした救急隊がいなくて、ユースで集った人たちが救急車を出して急患を病院に連れて行くという話を聞き、大きな衝撃を受けました。日本には訓練された救急救命士がいて、病院から救急車が出動して、病院に連れて行くシステムが整っているので、それが当たり前だと思っていましたが、レバノンではそうではありませんでした。

この救急隊のほとんどがボランティアって言っていました。一部の人には給料が出ているそうですが、始めたばかりのボランティアなので給料は発生していないそうです。

私たちと同世代の人たちが、レバノンで何かが発生した際、重傷者・軽傷者・普通の患者を分けて「助ける優先順位」を決める権限を持っていて、とても責任重大な仕事をしていました。もし自分も同じ立場だったら絶対にできないなと思い、意識の違いを感じました。

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