取材日:2020/10/22
YISA主催「第2回国際学部生のためのOBOGキャリア応援イベント」の相談員として参加された、卒業生の入江さんにインタビューしました。
▽なぜ国際学部に入ったのですか?
私はスポーツしかやってこなかったので、漠然と「海外に興味にあるから、国際学部が良いかな。」と考えました。どこの大学の国際学部が良いか探している時に、私の高校の指定校推薦に明治学院大学があり、初めて明治学院大学の存在を知りました。実際に見学に行き「悪くないな。」と感じたため、志望校にしました。
▽学部生時代はどのような活動をしていましたか?
「国際学BOOK」「世界青年の船」「エジプト留学」の3つの活動が、私の学生時代を彩ってくれました。
「国際学BOOK」は、1,2年生がメインで活動する国際学部公認の団体で、オープンキャンパスなどでは高校生に、フレッシャーズキャンプでは1年生に配る、国際学部紹介のパンフレットを作成しました。私の代では主に紙の冊子作りに力を入れていました。
この団体に入ったきっかけは、小さい頃から物作りや絵描く事が好きだったので、大学でも制作系のサークルに入りたいと思っていたからです。そんな中、1年生の5月頃に仲良くなった子が「『国際学BOOK』っていう団体があって、就活に有利になると思うから、一緒に入らない?」と声を掛けてくれました。当時は「就活に有利とかなんやねん。」と思いましたが、「有利になるなら、やるに越した事ないかな?」と考え、小さい頃からの制作好きだった性格も合わさって、結局一緒に入りました(笑)
1年生の時は、2年生がやっていた写真撮影のアシスタントや、少し文章を書く程度でした。ですが、2年生で代表になり、どのような冊子にするかの企画はもちろん、取材や撮影、写真の現像、レイアウトなど全て自分たちで行う事ができました。これらの活動が私の後々の仕事に繋がりました。特に、今の仕事でもadobe使っているので、adobeという編集ソフトを使えるようになった事は、とても大きかったと思っています。
このように、大学生の間にadobeを使うスキルを身に付けられた事、代表として編集作業をした事、印刷業者と連帯して冊子を完成させた事などを経験できた事は、私の中で大きな思い出になっています。
この活動をきっかけに、制作の仕事に本格的に興味が湧いて、友達のライブのチラシ作りや、プライベートでも写真を撮るようになりました。
「世界青年の船」は、18-30歳の11ヶ国の参加者と一緒に、1ヶ月半掛けて船で世界各地を訪れたり、船上でも様々な活動をする、内閣府主催の国際交流事業に参加しました。
海外旅行にも行った事が無かった私にとって、これが初めての国際交流でした。もちろん国際学部の専門外国語の授業は真面目に受けていましたし、英語のディスカッションの授業も取っていましたが、主体的にディスカッションに参加するのは初めてでした。それから、参加者の出身国も3分の1くらいは初めて聞いた国だったように、不安な要素が多い中で参加しました。ですが、結果的には参加前は知らない国だった、中東の人たちと一番仲良くなりました。このように、この事業に参加した事で想像しなかった自分に出会う事ができたので、強く印象に残っています。
外国の人々はもちろん、日本で様々な活動をしてる人、具体的にはSDGsの活動をしている人や、女性活躍に注目して起業した人、JICAで活動している人など出会う事ができたのは、とても貴重な経験になりました。私は、高校までスポーツしかやってきませんでしたし、1年生の時は国際学ブックに集中し過ぎていたので、見てる世界が狭かったのですが、様々なバックグラウンドを持つ人と沢山出会い、「こんな考え方あるんだ。」「もっと自分はリラックスして良いんだな。」「自分らしいって何だろう?」「もっと海外に行きたい。」など、様々な事を考えるようになり、自分の軸ができていきました。
「エジプト留学」は、世界青年の船で中東の人たちと仲良くなったことがきっかけでした。
世界青年の船のロビー活動が終わった後の春休みに「ちょっと会いたいから、会いに行こう。」という軽いノリで、飛行機で12時間掛けて、アラブ首長国連邦に皆に会いに行きました。友人とのコミュニケーションは英語でしたが、現地の人々は当たり前ですが、アラビア語で話していて、「アラビア語かっこいいな。」と惹かれました。それ以外にも、右から書き始める特徴的な文字や、強い香水の香り、少し運転すると一面砂漠になるところ、夜になると砂と月しかない美しい景色、芸術的なモスク、客をとても大切にするホスピタリティなど、一つ一つに魅力を感じました。このように、友人に会うためにアラブ首長国連邦に行きましたが、現地に行く事でイスラーム教や文化に興味を持つようになり、エジプト留学に繋がりました。
アラブ首長国連邦に行ったにも関わらず、エジプトに留学した理由は、エジプトはアラビア語圏で、国民の90%がイスラーム教徒、そして物価が一番安かったからです。「ここなら1年間過ごせるかな。」と考え休学決めて、「トビタテ!留学JAPAN」という文部科学省が展開している、奨学金を出してくれるプログラムに応募して、1年間エジプト行きました。
この経験によって、イスラーム教についての理解が深まり、「イスラーム教の人たちってこうなんだろうな。」と持っていた固定概念が崩れていきました。例えば、女性は全員ターバンを被らなければいけないイメージがあるかもしれませんが、今は人それぞれです。中には髪の毛を露わにしてるけど「私は神様を信じてます。」と言う人も、被っていても「自分らしくないから、本当は被りたくない。」と悩んでる人もいます。講義を聞いているだけでは一生知ることのできなかった景色をたくさん目にした事は掛け替えのない宝物です。
今の仕事は海外関係ないのですが、プライベートでは、中東の美味しかったご飯をTwitterやInstagram、ラジオで紹介するなど、徒然なるままに発信しています(笑)
このように、私の大学時代は「国際学BOOK」で制作に興味が湧いて、「世界青年の船」で世界が広がって、「エジプト留学」で実際に自分の足で現地行き、自分の目で見ないと分からない事が沢山ある事を知るなど、自分の直感を信じて活動していました。自分が夢中になって活動した事が後々、様々な事に繋がっていく感じがして「やりたい事は、思ったその時にやるべきだな。」と思いました。
エジプト留学での写真
▽卒業してからどのように現在のキャリアに至りましたか?
私はエジプト留学をしていたので、就活は4年生の4月から始めました。最初の頃は、本当に単純なのですが「ポケモン好きだから株式会社ポケモン行きたいな。」「カメラはcanonだから、canon受けるか。」のように、「好きな物に関わってる方が幸せに決まってんじゃん。」と就活していました(笑)ですが、一次選考を通過しても二次選考で落とされてしまったり、内定をいただけても、「別にここで働きたいとは思わないな。」と内定辞退する事が続きました。このように、何となく就活をしていたので、「働かなくてもなんとかなるよな。もう就活しなくて良いか。」という根拠のない変な自信が出てきて、「次受ける会社でもう最後にしよう。」と思い受けに行ったのが、今働いてる会社です。
私の会社はITのベンチャー企業なのですが、当時はITに全く興味なく、「ITの知識は今後必要になるだろうな。」という簡単な考えで面接に向かいました。面接してくれた人事がとても面白い方で、話が盛り上がった結果、一次選考が通過できました。IT企業なのでプログラマーやエンジニア、デザイナーなどの仕事があったのに、その方は私に「入江さん人事はどうですか?」と聞きました。私は、「新卒が会社の方針や制度の運用をするの?!」と驚き、新卒にいきなり人事やらせようとする雰囲気をとても魅力的に思い、「この会社に入社したい。」と、フィーリングで入社を決めました。
▽現在どのような仕事をしていますか?
今は広報部にいます。1年目は人事でしたが、2年目である今年の7月から広報に移動し、adobeを使ってデザインをしています。具体的には、「doda」や「en転職」などの転職サイトで掲載されている企業紹介のページデザインを中心にやっています。
それ以外にも、社内で動画発信をする時に使うサムネイルの作成や、Youtubeのサムネイルのデザインなども行っています。
最近では、会社で新しい事業を始めようとしているので、そのロゴなどのデザインを行っています。
2021年度の内定式のためにYoutube Live配信をしている写真(写真中央)
▽あなたにとって国際学部とは?
「今の私の価値観を決定づけてくれた所」かなと思います。国際学部で「物事を疑ってみる」「主観的に物事を見ない」という考え方を教えてもらった事が、今の私にも大きな影響を及ぼしています。
私は「自分の物差しで物事を判断しない」という事を大切にしています。やはり、世界青年の船やエジプト留学など、教室で勉強してる内容と、現地で見た景色が全く違った事が大きかったです。実際に関わる前からステレオタイプのイメージを持ってしまう事は、自分の可能性も視野狭めていく事が分かり、常に視野は広く持たなければいけない事を学びました。
少し踏み込んだ話をすると、「自分の物差しで物事を判断しない」は、「主観ではなくメタ化(抽象化)し、物事を再認識する」と言い換えられます。物事を主観的に見るのではなく、客観的に見るという事は、「この人はなぜ、このような事を言ってるんだろう?」「どういう背景があったんだろう?」という理解が必要だと思います。この考え方は、異文化理解だけではなく、会社でも「なぜ今こう言われているのだろう?」「自分のこういう行動は気をつけないとな。」と自省する機会にもなります。
▽在学生へのメッセージ
私がそうして良かったと思えた学生生活でしたので、「お金は気にせず、心から好きな事だけ打ち込んでください。」という言葉だけを強くお伝えします。お金について不安に思う事はあると思いますが、皆さんが思っているより後々何とでもなるので、本当に好きな事だけ頑張って欲しいなと思います。
〇入江百音
1995年生まれ。2014年に明治学院大学国際学部国際学科に入学し、高橋源一郎ゼミに所属。2年次には「世界青年の船」に参加、3年次には休学し「トビタテ!留学JAPAN」を利用しエジプトに留学。
卒業後、株式会社ALHで勤務。