【ゼミ校外実習座談会】18KS大岩圭之助ゼミ

取材日:2020/11/16

2020年2月17日~29日にかけてブータンで行われた大岩先生にとっての最後の校外実習に行った時のお話しを伺いました。

▽事前準備

R.F.:『ラダック-懐かしい未来』(ノーバーグ=ホッジ,2003)っていう本を読みました。ラダックといってインドの近くにある、ブータンにちょっと似ている村の話が書かれている本をみんなで輪読しました。その本の気になったところを、授業で共有するみたいなことを校外実習の前は行っていて、ブータンに関して、何かを学ぶっていう機会はあまりありませんでした。

M.K.:他にはブータンのDVDをみんなで回したぐらいだよね。

F.T.:うん

R.F.:ブータンの言語を学んだ方がいいですかと聞いた時に、「いや、もう現地で学べばいいから」って言われたので言語に関しては、まったく知らないで行きました。

M.K.:先生は行った先で学べという考えでした。

R.F.:そうだね。あまり予習するなみたいな感じでしたね。

▽ルモソサエティ

R.F.:サムドルップ・ジョンカーにあるNGO団体が運営している「ルモソサエティ」という場所に行きました。ここでは有機農業のことやGNH(国内総幸福度)っていう、ブータンで大事にされている指標についてのお話を聞きました。この村は、GNHに基づいたモデルで作られていて、様々な活動をしていました。

例えば、都会に行く若者が多いので、そういった人たち向けにワークショップを行なったり、文化的技術の向上を目的として、陶芸など昔からある技術を伝承するということもやっていました。その他にもゴミゼロ運動を行っていて、エコフレンドリーなローカルプロダクトを生産するっていう、竹でコップを作ったり、バックを編んだりしていました。

Y.M.:あと、水筒とかもありましたよね。

R.F.:そう。それをそこで販売していたりしました。私たちはインタビュー形式で自分たちが気になったことを聞きました。

F.T.:独学でブータンの伝統に沿った有機農業のやり方を若者とかいろんな人に教えている人がいて、その人の家を見学させていただきました。そこではいろんな技術が見られて、面白かったなあと思いました。牛の糞を肥料にしているところを間近に見られて、すごくよかったです。

M.K.:R.F.さんが言ったように、若い人たちが都会に出ていってしまうという話を聞いたときは、ブータンでもそういうことがあるんだと驚きました。こうしたことが問題になっているのは、どこの国も変わらないのかなと思いました。

Y.M.:ここでお話を聞いて、事前学習で読んだ『ラダック-懐かしい未来』を思い出しました。この本によるとラダックという村でも昔ながらの農業で村を営んでいるということが書いてありました。しかし、開発が進み、技術が入ってきたとたんに、人々がどんどん別れて、昔のようにダンスを踊ったりするような楽しいことがなくなっていきました。その本で印象的だった箇所は、この本の作者がインタビューした時に、家にはテレビとかが増えたのに、心が満たされないというところでした。財産ではなく、やっぱり大切なのは人間の心の繋がりなんだなということが分かりました。ブータンでも同じようなことを起きているので、悲しいことだと思います。

▽コットン再生プロジェクトの体験

R.F.:大岩先生とガイドのペマさんが行っている、「コットン再生プロジェクト」の現場に行きました。少し前のブータンでは、自分の畑で取れたコットンを使って洋服とかを作っていたそうなのですが、最近はそういうことがだんだんなくなってしまっているそうです。

しかし、大岩先生たちのプロジェクトで、できる人をたくさん増やしていて、私達もその体験を一緒にさせていただきました。収穫したコットンの種を取って、弓矢でさいて、フワフワにしたものをまとめて、糸にするんですよ。機織(はたおり)にしたり、色をつけたりっていう行程を全部やらせてもらいました。

F.T.:とても難しかったです。一番難しかったのは糸にするところで、お母さんたちは当たり前のようにグルグルやっていたけど、全然できなかったよね(笑)。

R.F.:うん、できない。

F.T.:切れちゃうし、全然糸にならないし、

R.F.:体験しながらお母さんたちに呆れられました(笑)。

F.T.:うん(笑)

R.F.:でも、ブータンの人たちは話しながらとか、歌いながら作業をしていて、すごく楽しそうにやっていました。ただ作っているっていうより、みんなで楽しくやっているから、それも一種の憩いの時間のように見えました。

M.K.:この村で栽培しているコットンは全てオーガニックでした。私はコットンの種を持ち帰って、自分の家で栽培しているのですが、改めてコットンを無農薬で作ることの難しさを感じています。

R.F.:先ほどの「ルモソサエティ」でも有機農業をしていて、自然にある材料を使った虫よけ剤みたいなものを自分たちで作っていました。それは何年も改良してできたものを使っていました。

M.K.:私はお酢に唐辛子とニンニクを漬け込んだ虫よけ剤を使ってみました。1日1回やっていたら、だいぶ虫は来なくなったように感じているんですけど、市販のものを使った方がいいというのは感じます。

▽チモン村の小学校

F.T.:私達がホームステイしたチモン村の小学校を見学しに行って、お話を聞きました。この小学校では、現地の方言のような言葉であるゾンカ語と英語を半々ぐらいで授業を受けているそうです。

Y.M.:小学校では、食事をしたあとに質疑応答を行いました。学校と家の距離が離れているので、子どもたちはいつも家に帰るのではなく、宿舎から通っていました。そこで「宿舎に住んでいて、寂しくなることがありませんか?」と聞いたところ、「寂しく感じますが、友たちがいるので全然大丈夫です」と答えてくれました。

今度は逆にブータンの子どもたちに「日本は発展しているが、ブータンは日本に比べて遅れている。私達の国足りないものは何か、どうしたら日本のように発展できるか?」と質問されました。これに対して、私たちは「経済発展した後の日本人は精神的な強さをあまり持っていないのではないか?物質的には日本は発達しているかもしれないが、果たして、ほんとうに日本は発展しているのか?」と回答するというようなやりとりをしました。

▽ブータンの食事

Y.M.:村にきて一番印象に残っている飲み物で、アラーって言うんですけど、簡単に言うとお酒ですね。日本酒に近いです。

村の人にとって水に近いものらしくて、初めて来たときも、朝も、村を発つときも勧めてきて、本当に好きなんだなと思いました。

R.F.:めっちゃ飲んでたよね?

F.T.:そのお酒を自分たちで作ってるんだよね。

R.F.:あと、ピーチワインっていうのもブータンの桃を使って作られたもので。

ジュースって言えるものがこれくらいしかなくて、私はアラーが苦手で、チャイも飽きたなっていう時に飲んでました。

Y.M.:ピーチワインは美味しかったですね。

R.F.:うん、美味しかったですね。ガツンとお酒なんですけど、ちゃんとピーチの味がするので飲みやすかったですね。

Y.M.:家族にお土産で買っていったんですけど、美味しいって言ってました。

R.F.:みんなで輪になって外でご飯食べるんですよ。

そこに急に村の人が音楽かけて入ってきて、輪になって踊ったり、キャンプファイヤーを囲んだり。あと、「日本のポピュラーな踊りをして!」って言われて、恋するフォーチュンクッキーとか、みんなで歌って踊りながら毎晩のように(笑)

Y.M.:毎日どんちゃん騒ぎでしたね。2時間くらい踊った時もありました。

R.F.:歌いながら、現地の踊りを一晩中やっていました。楽しかったですね。

▽途中で起きたハプニング

F.T.:小学校で運動会をしたのですが、一人倒れたメンバーがいました。現地の食べ物があんまり合わなくて食べられなかったことや熱中症の影響があったと思います。お風呂がなかったので溜まった雨水をステイ先の方が沸かしてくれて、それを頭からかけて洗うみたいなお風呂の生活を送っていました。お風呂で髪を洗ったら電気のコードもなかったので髪を乾かすことも出来ません。家も簡素で、手で作ったような家なので、夜がとても寒くて体調を悪くしてしまったのかもしれません。

R.F.:トイレが日本と違うので困りました。場所によっては本当に汚くて、臭いんですよ。

バスでの移動時間が8時間とかなので、どうしてもトイレに行きたくなってしまいます。初めはみんなで協力してカバンとか全部持ってあげたりとかしていました。でも、最終日らへんになるとこのトイレに入るのも面倒臭くなって、草むらとかでみんなで並んでトイレしていました。

▽校外実習を通して

R.F.:私は、ブータンが「世界一幸せな国」って言われているのはなんでなんだろうっていう素朴な疑問を持っていて、「幸せ」って感じる瞬間を調査することを目標に行きました。それは人との「繋がり」というのが第一印象でした。現地の方は、日本人に全然会ったことがないので、私たちが行くだけで「写真撮って」って言われて有名人みたいに寄ってきてくれました。すごく人との距離が近くて、英語で色々なことも聞いてくれるし、興味を持って話してくれたりしました。ホームステイ先の人は英語も通じないんですよ。私たちもゾンカ語はしゃべれないし、コミュニケーション取るとしたらジェスチャーと顔の雰囲気とかで把握するしかありませんでした。そういった中でも、3日間ちゃんとコミュニケーションとか心の会話とかが出来た気がします。行くときは本当に不安で帰りたいなって思った人もいたと思うんですけど、ホームステイが終わるころには泣いている人とかもいました。

M.K.:私もR.F.さんと一緒で、「人との繋がり」が幸福につながるのかなって思っていました。バードウォッチングの名所があるシムガン県の知事が「日本人はもっと気楽に生きてもいいんじゃない?真面目に人生と向き合うのも大切だけど真面目すぎてもだめだよ」ということを言っていました。実際にブータンの人たちも常に冗談言い合って、笑っている印象があって、私たちも冗談言いながらもっとスローに生活してもいいんじゃないかなと思いました。

Y.M.:参加した理由はブータンという国は、世界で一番幸福な国とされているのがなぜか気になったからです。ブータンに行って学んだことは、技術的発展がなくてもブータンの人々は楽しく暮らしていて、人とのつながり、心のつながりがあればみんなで楽しく暮らしていけると感じさせてくれました。僕も今回のゼミを通して、ゼミの人たちだけじゃなくて外部の生徒さんや先生たちとふれあうことが出来ました。本当に感謝しています。一生忘れない宝物になりました。

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