【ゼミ校外実習座談会】18KS林公則ゼミ

取材日:2020/11/28

分断社会での生き方を考える」を全体の目標として、林ゼミの校外実習が9月1日から10日にかけてオンラインで開催されました。その時の様子を参加した学生に伺いました。

▽校外実習の概要

S.S.:コロナが悪化する前は、現地に行く前提で準備をしていましたが、学校側から校外実習の許可が下りなくなったので、そこからオンライン校外実習に切り替えました。でも、元々訪問してお話を聞くはずだった方々に、オンラインで講演をしていただいたので、0から練り直した2つのプログラム以外は、1から企画し直すという訳ではありませんでした。

しかし、元々は1日かけて学び、経験するプログラム内容を考えていたのに、1日約3時間になってしまったので、講義やグループディスカッションを決め直した事が一番大変でした。

個人的に、農家さんの家にホームステイして、体を動かして学ぶ予定だったのに、毎日机の前で話を聞き続けるのが正直大変でした。ですが、講演者の人と連絡取り、コミュニケーションする機会はちゃんとあったので、オンラインであっても農家さんと距離を縮める事はできたのかなって思っています。

学生A:学生は先生から講演者の方の連絡先を貰った後は、先生に間を持ってもらう事は無く、講演者と学生だけでやり取りをしました。

まず3時間の使い方を学生で考えて、講演者の方に提案します。その後、講演者の方の要望を聞き、再構成するというやり方で、プログラムを作りました。

▽「水俣食べる通信」

学生A:私は、「水俣食べる通信」を担当しました。これは冊子なのですが、毎月1人の生産者に注目して、生産者インタビュー、生産品を使ったレシピ紹介、高級レストランのシェフによる生産品を使ったレシピ紹介など、その1冊まるごと1つの生産品を特集しています。月によって中身は全然違うのですが、四コマ漫画があったりして、すごく読みやすくて楽しい内容です。

私は「食」について興味があったので、先生に「水俣食べる通信」を紹介してもらいました。この冊子の、消費者と生産者、環境などの繋がりを考え直すきっかけになる内容に興味を持ちました。私自身が上京してから、生産者について考える機会が減ったので、これをきっかけに、ゼミ生と「食」について話したいと思い、このテーマを担当する事になりました。

私たちは、先生が持っている「食べる通信」を使わせてもらって事前学習をしていました。ですが、それを講演者の方に話したら、「他の学生にも見てほしいから送りますね。」と提案してくださり、学生一人一人に冊子が届きました。

S.S.:冊子が手元にある中で講演をしてもらったので、すごく分かりやすかったです。

この活動は水俣市の取り組みなのですが、他のプログラムで水俣病のわだかまりについて学んだ上で、この話を聞きました。なので、水俣のポジティブな部分を紹介している活動はとても興味深かったです。

▽あっぷるみんとハーブ農園

N.S.:私は、南阿蘇の「あっぷるみんとハーブ農園」を担当しました。ここの農家さんは有機野菜の生産販売やレストラン経営をしています。サポーター制度を取っていて、消費者や農園のファンの方に農園からお便りを出したり、有機農業のイベントを開催したりしています。また、生産者と消費者の繋がりや、地産地消を大事にした取り組みを魅力的に思い、お話を聞きたいと思いました。

学生A:講演者の方は、「農園ができた経緯は、周りの方のおかげだ。」と何度も仰っていて、人との繋がりを大切にしている事が印象的でした。これは、熊本大地震後に地域の人通しの協力や情報交換に力を入れた事が大きな影響だったようです。そのため、「顔の見える関係が人との繋がりを豊かにする。」と強調されていました。私も東日本大震災の経験者なので、共感する部分が多かったです。

また、新しい事に挑戦し続ける方でした。「人とは違う事をする。それは恐れが大きいかもしれないけど、挑戦心を持って取り組む事が大切だ。」とお話してくださり、とても勇気を貰えました。

N.S.:私も、その話が印象的でした。前は農薬を使った農業をしていたけど、多くの人から学んで、今の有機農業の形になったと聞いて、新しい事に挑戦する姿勢がかっこいいなと思いました。

ただ、オンラインだったのでレストランでの食事や、現地を見る事ができなかったのが残念でした。

▽わいた会

S.S.:私たちはエネルギー班を担当して、当日は小国町のわいた地区にある「わいた会」という合同会社と、そこが提携している「ふるさと熱電」という電力会社の方々がそれぞれ参加してくださり、小国町の地熱発電の取り組みについてお話を伺いました。

エネルギー班の目標は、エネルギーに関する問題に自分たちの意見を持つ事やできる事を探すという事を掲げていました。わいた会の方とやりとりを始めた段階で、学生たちがエネルギーにあまり関心がないという課題があるという事に気がつきました。

N.S.:私もこれまでエネルギーや電力について学んでこなかったので、このお話を聞いたときは難しいなというのが正直な感想でした。でもお話を聞いていくうちに、日本の今の電力供給やエネルギーの問題がかなり深刻だということに気がつきました。特に、電気は全ての人が日常で使うものなのに、電気に無関心な人がほとんどなのはとても深刻な問題だなと感じました。

わいた会のお話を聞いて地域で取り組んでいる再生可能エネルギー、今回は特に地熱発電についてでしたが、この取り組みはすごくすてきだなと思いました。また、これ以降ニュースでエネルギーに関して取り上げられていると積極的に聞こうと思うようになりました。意識的に電力に関して自ら調べるようになったのでとても良い経験でした。

学生A:エネルギーに関する知識が足らなかった事もあって、お話が難しかったなというのが正直な感想です。その中でもわいた会の方の言葉で印象に残っているのが、自分たちの孫世代の事を考え、その世代が良い暮らしをできるような取り組みを私たちはすべきだという事でした。別日に聞いた水俣病のお話しにも思いやりという言葉が出てきたのですが、孫世代の事を考えるという事も思いやりになるなと感じました。

S.S.:学生Aさんも言っていましたが、わいた会を選んだのは地域というのがキーワードであったからでした。やっぱり水俣と似ているところがあって、わいた会も地熱発電の建設計画の段階で地域が温泉地なので温泉資源の枯渇が懸念されていました。これが地域を賛成派と反対派に分断し、地域の伝統的なイベントである盆踊りが開催できなくなるという事態にまで発展してしまいました。今運用されている地熱発電はこのような地域の分断を乗り越えて建設されたという歴史があるというお話でした。わいた会にお話を聞いたからこそ、エネルギーの面だけでなく、地域という面からもアプローチできたのでよかったと思います。

▽水俣病

S.S.:チッソ工場で働いていた方にご自身が経験されてきた事をお話して頂きました。この方はチッソ工場で働いていた事を誇りに思っていて、チッソを嫌いになったわけではなく、これから良い方向に向かっていってほしいと思っているそうです。これから水俣病を実際に経験していない人が増えていく中で、同じ事を繰り返さないために、自分たちの経験を伝えていかなければならないと仰っていました。

学生A:水俣が水俣病によって分断してしまったとき、地域で団結しようと声をかけたのがこの講演者の方でした。その言葉で特に印象的だったのが「ないものねだり」ではなく、「あるものさがし」をしていこうという言葉でした。自分の身近な物に目を向けて、地域が本来持っているものを大切にしていこうと思いました。

N.S.:水俣病と聞くと、小学校や中学校の教科書で勉強した事というイメージが強くて、昔の事だと思ってしまっていました。しかし、今でも色々な形で続いていて、苦しんでいる人や闘っている人がいるという事を感じました。水俣病と差別問題というのは切っても切れない関係だと思うのですが、今まで私が想像していた水俣での差別は、水俣病患者の人に対する差別が問題だと思っていました。しかし、実際に話を聞いてみると、患者さん同士や、講演者の方のようにチッソで働いていた人への差別もありました。色々な形で対立が起こり、地域がばらばらになってしまったという事を体験した方から話を聞いて衝撃を受けました。

▽恋愛講座

S.S.:最終日に打ち上げがあったのですが、学生は一人しか参加しませんでした。それでも林先生と講師の方とお話をしていて楽しかったので、もう一度他の学生を集めて開催したのですが、ある学生の恋愛講座になりました。

ゼミ生:そうそう(笑)

S.S.:そのゼミ生は恋愛に全てをかけていて、熊本県の方たちも林先生も巻き込んで恋愛講座をしていました。

学生A:以前、下の学年に向けて報告会をしたのですが、その講師の方も来てくれていて、その恋愛講座が印象的だったそうです。その学生が忘れられないって(笑)。

S.S.:魅力的な学生で良い出会いだったとも言ってたね(笑)。

▽ワールドシフト

N.S.:最終日に全体の振り返りをしたのですが、「ワールドシフト」といって自分の中での価値観の移り変わりを「〇〇から△△」という一文で表現するアクティビティをしました。私は「目に見えるものから目に見えないもの」にしたのですが、今まで自分で確認できる事しか知ろうとしませんでした。校外実習を通して、物事の裏がどうなっているのかを知るというのが大切だし、これからの人生で必要な事だと感じました。

S.S.:私は「知るから使う」というワールドシフトにしました。興味がないところから知るというのが0から1になると思って、今回の校外実習では知るという事を多く体験しました。これからは今回知った知識を使っていくフェーズにあると思っていて、頭の中で思っていても行動しなければ変わりません。今回お話を聞いた方々は、何か課題や問題があったら行動に移していて、やってみる事から始まるというお話しもしていました。私は今回学んだ知識を他の人に伝えたり、自分が何かをしたりして使っていきたいと思いました。

学生A:私もN.S.さんと同じワールドシフトで「目に見えるものから目に見えないもの」にしました。今の日本でこの野菜は誰が作って、どのような環境で作られているのかという事を考えながら食べている人は少ないと思います。しかし、人は食べないと生きていけないように、食とは生涯付き合っていくものなので、食との向き合い方は大切だと思いました。そのためには、食の裏側を見る事が大切だと思います。校外実習を終えて変わった私の行動は、野菜を買う際に値段や量で選んでいましたが、生産者や有機農法かどうかがわかるものを選ぶようになりました。

Share

Follow