取材日:2021/02/08
▽なぜ国際学部に入ったのですか?
幼少期に英語関係の習い事をしていたことや、中学2年生の時に1か月間ホームステイをしたことがきっかけで、海外の文化や人との関わりに興味を持ちました。その後明治学院高校に入学して、明治学院大学の国際学部の存在を知りました。
▽学部生時代はどのような活動をしていましたか?
勉強する時間をメインにとっていました。3年次に1年間のインターシップ留学を考えていたのですが、その1年間は十分に単位を取れないので、1,2年生の時は最低限単位を落とさないように、できるだけ多くの単位を取っておこうと思い勉強していました。
3年生の秋学期からは、University of California Riverside Extensionでの語学研修とWalt Disney Worldでのインターシッププログラムに参加しました。平日は語学研修で、レベル別に分けられたクラスで文法やスピーキング、発音などを学んでいました。同じクラスには、別の大学から来た日本人の学生と、中国や韓国などアジアからの留学生、UAEなどの中東のエリアからの学生と一緒に勉強していました。仲良くなったクラスメイトと一緒にお昼ご飯を食べたり、週末にドライブに行ったりしていました。
学校へはホストファミリーが送迎をしてくれました。彼らはイベントに連れて行ってくれたり、誕生日パーティーを開いてくれるなど、アメリカの普段の生活や行事を体験させてくれました。私は日本が好きなのでホームシックになることもありましたが、ホストファミリーが私の気持ちを汲んでサポートしてくれたことにとても感謝しています。そのおかげで良いホームステイの時間を過ごすことができました。
ディズニーではポリネシアンリゾートホテルの「オハナ」というフルサービスのレストランと、同じリゾート内の中にある、「キャプテンクック」というファストフードレストランで3カ月ずつ働きました。
オハナでは、受付でのチェックインとレストランの説明をしながら、お客さんを席までご案内していました。朝食の時間にはキャラクターが遊びに来てくれるので、盛り上げたり、レストランで行われるイベントのお手伝いをしていました。他にもお皿やシルバー類の準備など、バックヤードで仕事をする日もありました。
キャプテンクックでは、食事を作って提供する仕事をしていました。職場にはアメリカ人のインターン生だけでなく、モロッコやメキシコ、アルゼンチンなど、世界各国から働きに来ていました。私以外に日本人はにはいませんでしたが、同い年くらいのアメリカ人インターン生がたくさんいたので、楽しく働くことができました。
楽しいイメージを持たれるかもしれませんが、言語や常識の違いなどで大変な思いもしました。ですが、その環境の中で自分なりに頑張れたことが、今の生活や仕事に活きていて、その経験をして良かったと思います。
▽どのように現在のキャリアに至りましたか?
私は4年で大学を卒業したかったので、4年生の春からディズニーでインターシップをしながら、エントリーを進めていました。賭けにはなってしまいますが、本格的な就活は日本に帰ってからやろうと考えていました。
私は海外や国際関係に興味がありました。そこで目についたのが、今後グローバル展開を視野に入れていた「楽天」でした。楽天は、ビデオ面接で選考を進めてくれて、ビデオ上で内定をもらいました。
当初、この会社に就職する予定はなく、帰国後も留学生向けのフォーラムに参加したり、何社か自分で連絡を取り、エントリーさせてもらえるよう交渉しました。ですが、なかなか上手くいきませんでした。そこで自分の興味と能力の範疇に合い、且つ外国の方が働いているという職場環境から、内定をもらっていた楽天に入社を決めました。
入社後最初の半年は研修があり、秋頃に「楽天市場」というネット販売の新規開拓の営業職に配属になりました。そこでは海外の方と一緒に働くことはありませんでしたが、営業として社外の人とのコミュニケーションや社会人としての礼儀などを学ぶことができました。
入社して1年半ほど経った頃、楽天モバイルに異動とになりました。そこでは、ビルのオーナーさんにアンテナを置かせてもらうために、電話営業を行っていました。アンテナを置くビルはどこでもいいというわけではなく、バランス良く電波が上手く繋がるようなロケーションに置く必要がありました。そのロケーションのを設定をしていたのは、外国籍のエンジニアの方でした。
社内の共通言語は英語となっていますが、全ての人が英語でコミュニケーションできるのではないため、中間の立場で上手く営業サイドと技術サイドをまとめて、アンテナを設置するという調整業務を行っていました。
そして昨年の4月から新しくできた部署に異動とになり、アンテナを動かすために必要な工事の材料調達や管理といった業務をしています。物を買うときに価格の承認が必要なので、他の部署にいる外国籍の方に発注の説明などをしています。私の部署にはほとんど外国籍の方はいませんが、他の部署やエンジニアのトップの方は外国籍の方がいらっしゃるので、英語でコミュニケーションをとることが多くあります。
ディズニーでは、世界各国の方々と仕事をすることができたので、今の仕事に直結していると感じています。相手を理解した上で、自分の主張をすることは、どんな相手、仕事でも必要です。今の仕事は専門性が高く難しいですが、コミュニケーションの取り方や、相手を理解すること、他者を巻き込んで仕事をしていくことは、ディズニーで学べたことです。
▽キャリアを積んでいく中で大変なことや魅力はありますか?
個人的にはモバイル業界の知識が無いため、新しい情報を取り入れて理解することはとても大変です。楽天モバイルは組織としてまだ新しく、社員も業務をして2,3年程度しか経っていないので、自分が理解をした上で物事を動かし、仕事をすることは大変なことが多いです。
整っている組織には上司に経験があり、解決策を提示してくれるので、スムーズに物事が進んでいきます。しかし、上司も含めて経験がない中で試行錯誤しながらやっているので、自分で判断して行動していくことは最初は難しく感じました。
徐々に慣れてきて、現在は「自分が主体にならないといけない」という自覚のもと仕事をしています。自分の業務が会社の世間的な評価に直結しないとしても、最近世間で注目されている、携帯の料金で悩んでいる方々に良いものを提供できているという社会貢献に繋がっていると感じています。最初は個人的にも会社的にも大変でしたが、自分の経験やスキルが社会に影響を与えられるようになってきていることに喜びを感じています。
▽社会人になるための覚悟とは?
タイミングは人それぞれですが、いずれは社会人になると思うので、「自分の人生を自分で判断して行動していく自覚」を徐々につけていくことが覚悟になると思います。会社に応募すること、入社すること、続けることも辞めることも自分の判断です。また、将来の自分の目標に対して、自分がどうなりたいか考えることも自分次第です。学生は授業を受けて、課題を提出して、テストの点数がとれれば卒業できますが、社会人になると、自分で考えて判断して仕事をしなければならないので、立場も異なってきます。自分で判断をする、主体的に行動するということを覚悟として持ったうえで社会人を迎えると良いと思います。
厳しいように聞こえるかもしれませんが、それによって自分の人生を楽しくもつまらなくもできてしまうところがあります。留学生活を除いた日本での学生生活は物足りなさを感じていて、私自身、最初は判断力が無いと感じていました。社会人として慣れてきて、自分なりの楽しみ方を見つけたり、できなかったことができるようになる達成感を感じられるので、今は楽しい社会人人生を送れています。
▽あなたにとって国際学部とは?
私は国際学部で良かったと思っています。国際学部の授業は世界に目を向けること、キリスト教などの宗教の授業で色んな人が世界にいることを学ぶことができました。自分の考えは正解でも不正解でもなく、色んな人がそれぞれの常識を持って生きているということを学んだことは、他者を理解する上で勉強になりました。森先生のアメリカ文化研究のゼミで物事を一点から捉えるのではなく、色々な角度から考えてみるということは、特に学べて良かったと思うことです。社会人には正解があるわけではなく、自分で判断したり、自分なりの考えを持ってやっていく環境になります。一点から考えるのではなく、多角的に様々な観点から物事を考えていくことで、より自分の意見に通ずるものや、困ったときの判断材料になり、考え方としてとても良い勉強になりました。
▽在学生へのメッセージ
社会人になる前の最後の学生生活になるので、友達や家族との時間を大事に過ごしてもらいたいです。社会人になるために色々な経験を積むことも大事ですが、やはり私自身振り返ってみて、楽しい思い出は大学生活に詰まっているので、友達や家族との思い出を作ることにも時間を費やしてもらいたいです。本を読んだり、映画を見たりして色んな情報を自分なりに噛み砕いてインプットするという時間としても使うことで、将来自分が見た映画や本で読んだ内容の点と点が線で繋がると思います。一番伝えたいことは、全力で楽しんでいただきたいということです。
〇河西春奈
2013年明治学院高校から、明治学院大学国際学部に入学。在学中にアメリカのカリフォルニア
大学エクステンションセンターでの語学研修とウォルトディズニーワールドでのインターシッ
ププログラムに参加。
卒業後は楽天に入社し、留学の経験を活かし営業や事務職を担当。