取材日:06/02/2021
▽なぜ国際学部に入ったのですか?
私は将来海外に行きたいと思っていたので、現役の受験生の時は英文科を志望していました。しかし、英文学科には受からず、浪人することになりました。浪人している間に国際学部を知り、英語だけを勉強するのではなく、英語を手段として海外の人と交流したり、海外で仕事がしたい、海外の事を学びたいと思うようになりました。当時、国際学部はまだめずらしく、明治学院大学と青山学院大学、中央大学などにしかありませんでした。その中で多様性が混在している明治学院大学が良いなと思い、入学しました。
▽学部生時代はどのような活動をされていましたか?
小学生の頃から役者を演じてみたいという気持ちが強くあったので演劇研究部に所属し、演劇に熱中していました。部活の活動内容としては、公演演目を投票で決めて、各チームごとに演劇をオリジナルで作成・講演していました。私は役者を目指していたということもあり、主に演者をしていました。しかし、演技が上手ではなく、途中から脚本を書いたり演出をする立場に変更しました。
大学時代は演劇に熱中していたため、学業面はというとあまり熱心ではありませんでした。したがって学部内の交友関係は非常に狭いものでした。その反面、個人との関係はとても深く、大学生活の中でできた数少ない友達とは卒業してから約20年経った現在でも月に1回会う仲です。
同じ国際学部であり、演劇部である友人が哲学に興味を持っていたことがきっかけで哲学に興味を持ち始め、当時入ろうと思っていた国際的なゼミを選ばず、哲学のゼミを選びました。このことは私にとって正解で、現在でも哲学の教えが将来を決めることに役立っています。
▽どのように現在のキャリアに至りましたか?
私は25歳まで演劇を続けながら様々なアルバイトを経験し、のちに飲食業界の社員、そして40歳になってから現在に至ってはhotel aiaoiを経営しています。ホテルを作りたいと考え始めたのはたのは25歳のときでした。趣味である旅行を通して、海外の人が来るような宿を経営して仕事で趣味を叶えたいと思うようになりました。しかし、想定するお客様を海外の方にするという考えは変わりました。社会人としての経験からゆったりとした自分の時間が欲しいというふうに考えが変わり、コンセプトを物質社会に流されることのない、本当に大切なモノだけに囲まれた日常の暮らしの延長上にあるホテルに変更しました。25歳の頃から構想を練っていたのに、実現したのは40歳の頃と、キャリアを実現するには時間がかかりましたが、その間に飲食業界で働いた経験などが今のコンセプトを生み出しました。なので、時間がかかってよかったと思っています。
▽社会人になるためにはどのような覚悟が必要ですか?
私は接客をするために飲食の会社に入社しました。しかし、働いていると、自分のやりたいことだけをやるということはできず、どうしてもやりたくないこともやらなければいけません。やりたくないいことをやらなければいけない時に、仕事内容だけではなく会社の理念に同意できたから飲食の仕事を続けることができました。会社で働いていた時は幸せで楽しかったです。でも今思えば、「会社という枠の中において幸せ」で、「ゲーム感覚のようでで楽しかった」ということだったと思います。それは、私にとって本当に心から幸せな、自分の心が豊かになるような行動ではありませんでした。どこかの会社に入るのなら、その環境に染まる覚悟が必要です。個人でやるのであれば、自由すぎる覚悟が必要です。また、自由には責任が伴うので、責任を負う覚悟が必要です。自分で選んだものに対しての責任を持つということです。
▽あなたにとっての国際学部とは?
多様性を学ぶ場だと思います。 国際的な活動を行いたいと思って入学したはずが、私が哲学の竹田ゼミ、文学の加藤ゼミ、聴講で韓国の現代政治の秋月ゼミをなん受講するなんて思ってもいませんでした。しかしその選択に後悔はせず、むしろ面白いと感じましした。私を発見させてくれる場でした。国際学部のホームページを拝見したら、やっぱりいろんな先生がいて、いろんな授業がありますよね。、それがすごい面白いなって思っています。
私が学生だったころには帰国子女の学生がが2、30人ほどいて、最初はなじめませんでしたが、最終的には仲良くなりました。派手な帰国子女の学生たちとと地味な私が妙に馴染んだというか、そういう新たな自分を発見できる場だったなと思います。
▽在学生へのメッセージ
自分を「決めつけない」ことが大事です。決断しても変えてもいいと思います。何かあるごとに常に決断を刷新することも大切です。私は決めつけてしまうことがあるので、決めつけないように気をつけています。みなさんの頭は柔らかいので、このような考え方は就活にも役立つと思います。例えばパイロットになりたいと思っても、パイロットだけが目標ではないかって思う気持ちがあったらいいと思います。ただし、1番のポイントは考え方の基準として「どう生きたいか」ということを常に考えていて欲しいと思います。何をしたいではなく、どう生きたいかを基準にすると、考え方が柔軟になります。やりたい事の一つだった演劇を諦めた時は一年心に穴が空きました。あの時は一番辛い時期でした。。この経験を教訓として、自分の意外性を楽しむ好奇心を持ち続けていくことが大切だと学びました。例えば、文学が好きだとか、映画を見て変なとこで泣いたりしませんか。なんか理由がわからないけど泣いている。あれ、ここで泣くのって。それって自分なのに面白いじゃないですか。それをワクワクして楽しんで欲しいです。まだ可能性はたくさんあると思います。
〇小室剛
1995年に明治学院大学国際学部に入学。学部生時代は演劇研究部の活動に打ち込む。韓国での留学を経験。卒業後は様々なアルバイトを経験後、飲食店に就職。40歳でホテルaiaoiを開業。
HP:http://aiaoi.net/