【私にとっての国際学部】15KC ルシコヴ・ヴラディスラヴさん

取材日:2022/9/1


▽なぜ国際学部に入ろうと思ったのですか?


 受験期に、英語試験対策塾において「国際キャリア学科」の存在を知ったことがきっかけです。国際キャリア学科の「英語で学ぶことが出来る」、「リーダーシップを養える」、「分野を限定せず幅広く学べる」性質に惹かれ、入学を決めました。また、明治学院が歴史のある大学であるという点も、入学を決めた理由の1つです。

▽学部生時代はどのような活動をされていましたか?

 学生時代は、「様々な人々と関わる」ことを1つの目標としていました。特にコミュニケーションの鍵になったのは、キャンパス内の喫煙所でした。喫煙所には、学部を問わず学生や教員といった、自分とは年齢も所属も異なる個々人が集います。ただ生活するだけでは出会いにくい多様な人々と積極的に関わりを持つことで、人間関係の構築を試みました。サークルや部活のような閉鎖的な環境ではなく、流動的な空間である「喫煙所」は、当時の私にとって非常に貴重な場所でした。

 また、学外活動としてアルバイトもしていました。吉祥寺のロシア・ジョージア料理店で働く中で、元々あまり関心のなかった料理の楽しさに目覚めました。試行錯誤を重ねるなかで、自身の能力が向上したことを認識する瞬間や、調理することに対する純粋な喜びを実感したことは印象的でした。料理を仕事にし、「いつか自分の店を出したい」と想うようになったのもこの頃からです。

▽どのように現在のキャリアに至りましたか?

 卒業後、専門自動車商社に就職しました。日英露の3か国語ができるという特性を活かし、「国際事業部」で外国企業との関係業務や海外視察、通訳などに従事しました。優れた業績を残したとして、全社員のなかから選出されたこともあります。その一方で、自分の取り組んでいる業務に対して「勉強にはなるものの、自分が抱いている夢とは少し違う」といった観念を持つようになりました。悩んだ末にその企業を退職し、「料理を仕事にして自分の店を持つ」という自身の夢を追おうと決断しました。退職したものの、会社の仕組みを知ることや、リーダーシップを活かした仕事、効率化のためのツールなど企業での経験は自分の糧になっています。

 退職後は、在学中にアルバイトをしていたロシア・ジョージア料理店に戻り、店長として働き始めました。オリジナルメニューの開発やイベントの企画、経営の勉強、調理スキルの更なる向上などに取り組みながら、「独立して自分の店を出す」という夢に向けて邁進し始めました。

 在学中、そして就職してから獲得した技術や経験を活用しながら、現在、開店まであと一歩という段階に至ります。現状に甘んじることなく、自分の目標に対してチャレンジしていきたいです。

▽現在のキャリアで大変なことは何ですか?

 経理の作業を行うなかで、日本の税制度に適した書類を作成すること、また、その制度が変わる度に対応しなければならないことが大変です。加えて、そうした書類には提出期限があるため、限られた時間のなかで複雑な表現や作業と向き合わなくてはならず、困難を覚えることもあります。

 経理における言葉や文章には漢字が多く用いられるため、理解するのが難しいと感じますが、お店のオーナーに教えてもらいながら、「仕事の一部」と割り切って勉強しています。現在働くお店は、経理に関してそこまで複雑にはなりませんが、今後事業を拡大していくのであれば、より一層の勉強が必要になります。

▽現在のキャリアの魅力は何ですか?

 飲食店を媒介に様々な人とコミュニケーションが取れること、自分のやりたいことを実現できることが現在のキャリアの魅力です。先日は、期間限定でウズベキスタン料理を提供するイベントを開催しました。実際にメニューの決定や販売までを自分で行うことで、独立するという夢の実現に近づきました。

 また、好きなことで仕事ができているのも魅力です。自分の好きな料理が仕事であるため、ストレスをあまり感じずに働けています。自分で料理を出す企画の運営をした際も、2週間ずっと働きっぱなしでしたが、苦には感じませんでした。

 前述のように、私はアルバイトを通して料理に魅力を感じるようになり、自分でも積極的に料理するようになりました。18〜19歳の頃から飲食店「カフェ・ロシア」で働き始め、最初は失敗することも多かったですが、試行錯誤を通じながら自分でも満足のいく料理が作れるようになり、メニューも作成出来るようになりました。アルバイトを始めて約2年後には、「自分の店を持ちたい」という想いも持つようになります。一般的に、趣味と仕事を合致させることは難しいことですが、私にとって「料理」はそれを満たすものとなっています。

 加えて、現在働くお店には東欧諸国、旧ソ連の構成国、ロシア語がわかる日本の方など、様々なバックグラウンドを持った人が働いています。ロシア語を基軸とした労働環境は非常に楽しく感じます。

▽社会人になるための覚悟は何ですか?

 社会人に求められることは「我慢と努力」であると考えています。学生のうちは、苦手な人がいたとしても、距離を置いて相手にしなければ良いという選択を取ることができます。しかし、社会人になれば、苦手な人でもコミュニケーションを取る必要が出てきます。自身の主観を絶対とせず、様々な人とコミュニケーションを図ることで、多様性を習得できると考えることが重要だと思います。また、好きとは思えない仕事であっても、やっていくうちに好きになったり、その経験が他の仕事に活かされたりもします。直面した困難も、もしかしたら自分の強みに出来るかもしれないので、適度な我慢は必要であると考えます。

 それに加えて、学生のうちに勉強をしっかりしておくことが良いと思います。学生は、自分のするべきことにしっかり時間を割くことができますが、社会人になると、まとまった時間が取りにくくなります。業務外で仕事のための勉強が満足に出来るかといわれると、正直難しいのではないでしょうか。そのため、今のうちから、物事を合理的に捉えることや、現状を詳細に分析することを心掛けておくと、社会人になったときに役立つかと思います。学生のうちに多くのことを勉強して、将来的なキャリアに活かしていくことが大事だと思います。

 まとめると、我慢と努力、そして学生のうちから将来を見据えた勉強をしておくことが、社会人になるための覚悟として重要ではないかと思います。

▽あなたにとって国際学部とは?

 さまざまな人との出会いを得た場所です。今でも相談したりするような仲の良い友人が出来ました。

 また、国際キャリア学科における「望むと望まざるとに拘わらず他者と交流しなければならない環境」は、リーダーシップの習得や、語学力の向上につながると同時に、友達といい意味で狭い関係性を築くことができました。

▽在学生へのメッセージ

 学生のうちにしっかり勉強しておくことが必要です。「大学生のうちしか遊べない」という人もいますが、大人になっても楽しく遊べます。実際に私自身、現在も趣味や友人との時間を楽しく過ごしています。そのため、遊ぶだけでなく、学生の間に将来のキャリアのために勉強して備えておくといいでしょう。特に、エクセルやPPTなど業界に関係なく必要となる基本的なものを学習しておくことをおすすめします。私は、入社した際に非常に苦労しました。

 また、事務的な能力だけでなく、様々な環境に挑戦し、多くの人とコミュニケーションを取ることで自分の世界を広げることもいいと思います。

 遊びももちろんですが、社会に出る準備期間としても学生生活を充実させてほしいと思います。

〇ルシコヴ・ヴラディスラヴ

ロシア出身
2015年明治学院大学国際キャリア学科に入学。
吉祥寺にあるロシア・ジョージア料理店「カフェ・ロシア」にて店長を務める。現在、自らの夢である自店舗「アンナのキッチン」の開店を目指し準備中。

                                    

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