取材日:2023/5/19
▽生い立ちを教えてください。
私はマレーシアで生まれ、1歳になる前にフィリピンに引っ越し、11歳までフィリピンに住んでいました。その後父の仕事の都合で11歳から18歳までカタールに住むことになりました。カタールの高校を卒業したのち、アメリカのカリフォルニアに家族で移住しました。
▽どのくらいの期間日本に留学しますか?
私の留学期間は1年間です。2022年の秋学期から2023年の春学期まで明治学院大学に留学します。
▽なぜ日本に留学しようと思ったのですか?
私はカリフォルニア州立大学でコンピューターサイエンスを専攻していましたが、副専攻として日本語も学んでいました。もともと日本に興味があり、大学に入学する前から日本語を勉強していて、一度は日本で生活をしてみたいと思っていました。留学を通して日本での生活を経験し、将来日本に移住するか否か、判断材料としてこの経験が必要だと考えたため、留学を決めました。
▽なぜ日本語を勉強しようと思ったのですか?
幼少期に私の叔母が日本で働いていました。叔母がフィリピンに帰ってきた際に日本のお土産をもらい、日本の話を沢山聞かせてくれました。加えて、兄が日本のアニメが好きで、その影響で私も幼少期の頃からアニメを見ていました。高校生の頃は、漫画をよく読んでいました。
本格的に日本語を勉強し始めたのは、カタールに住んでいた17歳の頃です。幼少期からの周囲の影響とそのころ従弟が日本語を勉強していたこともあり、私自身も日本語を流暢に話してみたいと思うようになりました。
▽どのように日本語を学んでいますか?
幼少期から高校生の頃にかけては日本のアニメや番組を見ていて、日本語のイントネーションやよく使われるフレーズや単語を学んでいました。本格的に日本語を勉強し始めた17歳からは、毎日漢字を勉強していました。最低でも毎日15分は漢字を勉強し、それを継続したことで語彙力がついたと思います。8割は独学で勉強し、残りの2割はカリフォルニア州立大学の日本語の授業で勉強しました。日本語の勉強は今も継続しています。
▽カリフォルニアではどのような活動をしていましたか?
現在はカリフォルニア州立大学の学生ですが、以前はコミュニティーカレッジに在学していました。留学生部というクラブに所属し、部長として部員をまとめつつ様々な活動をしていました。カリフォルニア州立大学に編入してからはJapanese Student Association (JSA)に所属し、部長を務めていました。毎週Language Exchange(言語交換)の活動があり、日本人留学生と「アメリカと日本のバレンタインデーの違い」など、お題を決めて会話をし、交流していました。
▽日本に留学し、日本人と交流して感じたことは何ですか?
日本は公共交通機関が便利だと思います。カリフォルニアにも電車やバスはありますが、日本ほど便利ではなく、多くの人が車で移動しています。また、日本は夜に出歩いても心配がなく、とても安全だと感じます。
日本人の人柄に関しては、皆さん優しく、礼儀正しいと思いますが、アメリカ人と比べるとフレンドリーさに欠けると思います。たまに本音と建前を感じます。
▽読者にメッセージをお願いします。
可能であれば海外に一度は行ってみたほうが良いと思います。海外に行ってみることで文化の違いを肌で感じることができます。
日本人は就職活動や仕事に集中し、人生において大切なことを忘れていると感じます。将来お金を稼ぐために仕事をすることも大切ですが、自分の人生全てをかけてするべきことではありません。
私は今、自分が行っていることに意味があるのか、常に考えています。私は卒業を延長して、日本に留学に来ました。この経験は私の人生において大切な部分になると確信しており、留学をあきらめていたら自分自身が後悔していたと思います。
日本でできた友人やカリフォルニア州立大学に留学してきた日本人の友人たちを見ていると、人生を生き急いでいると感じます。皆カリフォルニアに留学に来ていても、就職活動や大学を4年で卒業することばかりを考えています。私の友人の一人は4年生になってからカリフォルニアに1年間留学していました。他の日本人たちは留学している間就職活動をしていましたが、彼女だけは日本に帰国してから就職活動をすると決めていました。彼女は1年間の留学を終え、日本に帰国してから就職活動を始め、現在は会社できちんと働いています。
生きていくためには衣食住が必要で、そのためには働いてお金を稼ぐ必要があります。将来的に家を購入したり、家族ができたり、人生にはお金が必要になる場面が沢山あり、必要経費が多いです。しかし、だからといって仕事だけをしていく人生は味気ないと思います。 私の父はアメリカで会社員をしており、9時から17時まで働く仕事ですが、いつも14時には家に帰ってきます。自分のその日の仕事を早く終わらせ、何時間か早く帰宅します。日本では上司が帰宅するまで会社にいなければいけない雰囲気があると聞いたことがあります。効率よく仕事をし、仕事以外の時間も作っていったほうが人生を有意義なものにできると思います。
“Working is not everything.(仕事が全てではありません。)”
When it comes to a topic such as death, the first thing that comes to mind is whether or not I’ve lived a life that’s worth living. Was my life one that I could look back on and be proud of? I’m constantly thinking about it in this manner.
〇Miguel Salvador
カリフォルニア州立大学コンピューターサイエンス専攻。
2022年秋学期から1年間明治学院大学にISPとして留学中。