【OBOG】大学院ってどんな場所?

Q4.受験って大変?対策は何をしたらいい?

 決して楽な受験というのはないと思いますが、これまでの受験(中学〜大学までの一般受験を想定)と大きく違うのはその要求されている能力です。数学や歴史、英語といった教養を試されてきたこれまでの受験とは違い、大学院の試験は非常にアカデミックです。

 大学院によって受験の内容は大きく変わりますが、大きく分けて以下の4点に多くの試験が集約されます。

  1. 研究科筆記試験
  2. 口頭試問
  3. 英語筆記試験もしくは外部の英語能力試験のスコア提出
  4. 研究計画書の提出

 まず、多くの大学院の試験は秋入試(7〜9月)と春試験(2〜3月)の2回実施されます(あくまでも一般的にはですが)。その2回の試験では内容が異なります。①〜④全て行う大学院もあれば、春試験では①がない場合もあります。その大学のサイトに掲載される「入試案内」をチェックしましょう。要求される能力が大学院、また、いつ受けるかによっても異なります。

  1. 研究科筆記試験では研究科が求める学問領域における理解度が要求されます。基本的には論述ですが、経済学ではマークシートもあります。学問の教養があるかが問われるこの筆記試験では幅広い知識を学部のうちに備えているか否かが重要です。学部の教員に受験先大学院の問題を見せて、どんな本を読めばいいか聞いてみましょう。
  2. 口頭試問では④の研究計画書の口頭での説明や、学士論文で何を書いたか(書いているか、書こうと計画しているか)を聞かれることが多いです。語学の能力を要求されることもあります。
  3. 英語の能力を要求されます。その会場で実施される場合もあれば、TOEFLやTOEICのスコアを提出させ、会場での試験がない場合もあります。スコア提出には十分期間を確保し、対策(TOEFL IBTであればWritingの際のタイピングや単語等の練習を)し、複数回受験をする事が理想です。が、一回の受験料が高いのが辛いとこですね・・・。お財布と相談しましょう。
  4. この研究計画書がとどのつまり重要です。修士課程でなにを研究したいのか、それが学問の中でどのような意義があるのか、学士論文とどう結びついているのかを数千字でまとめます。修士課程に見事合格した後にも重要な羅針盤になるので、ゼミやその分野の指導教員にチェックしてもらいましょう。

 筆記テストの対策や研究計画の執筆、英語の勉強など時間をかなりかける必要があるものばかりなので、十分に準備して臨む必要があります。しかし、併願する研究科、また研究科が用意するコースによって内容を変化させなければいけないので、戦略も必要です。大変か楽かと言われれば間違いなく大変ですね。

▽むすび

 ここまで日本の大学院の特徴と受験の様子をまとめてきましたが、選択肢としては海外の大学院もあります。研究の内容によっては修士課程から海外に研究の場所を置いた方がいい場合もあります。そして何より、研究の内容や大学院の様子をよく知っている身近な存在は学部の先生や指導教員になるので、海外の大学院にするべきか、日本の大学院にするべきか、又はどの研究科がいいか進むべきかなど聞いてみましょう。

 私の周りには本を読む事が好き、新しいことを知れることが嬉しいという仲間が多くいて、刺激的な毎日を過ごしています。尊敬できる方、研究熱心な方に出会えるだけでも大学院に行く価値はあるかもしれません。幸いなことに私の家は大学院進学という選択肢を与えてくれましたが、しかし全く話にも出ないご家庭、資金的にこれ以上教育投資できないご家庭もありますので、自分の勉強したい事が固まったら一度ご家庭内で話し合ってみてはいかがでしょうか。大学院進学にはご両親の理解が不可欠です。じっくり相談し、考えていきましょう。

〇本田恒平(ホンダ コウヘイ)

労働経済(労働賃金論・労働環境におけるジェンダー公正)を研究

1995年生まれ。2018年明治学院大学国際学部国際学科卒業。国際学学士。卒業後、一橋大学大学院経済学研究科修士課程入学。総合経済学専攻。