YISAゼミ合宿補助活動報告 久保田ゼミ

YISAでは国際学部のゼミ合宿への補助を行っております。

以下、2019年2月に行われた久保田浩ゼミ、ゼミ合宿の報告です。

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ゼミ合宿レポート 1日目     17ks 二野屏さん

最初に、天理教の本部神殿を見学した。まず、本部神殿の大きさにとても驚いた。建物は、神社に似ている外見であったが、どこか異なるようで不思議であった。

神殿は、「ぢば」と呼ばれる人類の誕生の場所を囲むようになっていた。「ようこそ、おかえり」という言葉を、駅を出た時に見たり、人から聞いたが、それは、人類誕生の地だと言われているためであると知った。。中では、毎朝・毎夕につとめが行われ、昼の時間でも参拝をしている人が多くいた。家族で参拝している人もいて、信仰をつなげていく方法のひとのひとつだと思った。

また、神殿周辺には、背中に天理教と書かれた黒い法被を着ている人や、14:00になると足を止めて黙祷をする姿などを見ることができ、普段では決して経験できないことができた。

次に、天理市本通り商店街協同組合直前理事長 酒谷雅典さんに、商店街からの視点でお話を聞いた。天理教に依存し続けるのではなく、自ら新たに発展していこうという姿がとても印象的であった。お話を聞く前に、商店街を通ってみて、神具店や装束店がとても多かったことが印象的であった。同じような店であったのに、二・三軒ごとにあり不思議であった。しかし、お話を聞いて、商店街は天理教の発展とともに成長した門前町型であり、それに伴い神具店や装束店が多くなったことを知った。

 

現在の天理市本通り商店街の課題は、大型スーパーやコンビニエンスストア、またネット販売の影響で客足がとても乏しいことであった。他の地方都市と同様の問題を抱えており、宗教都市だからといっても、状況は他とは変わらないことに驚いた。他にも、天理教信者の高齢化や、駐車場が天理教本部周辺にあり少々遠いこと、また、顧客が欲しいと思える商品がないこと、経営者の高齢化と後継者不足も課題に挙がっていた。

具体的に行われていたことは、てんりミュージックストリートや、てんりアートストリート、休憩ポートづくりであった。商店街の空きスペースの活用や、新しいことに色々取り組んでいた。また、アーティストやデザイナーとのプロジェクトが多くあったことが面白いと思った。アートの面で活発に行動することで、アーティストが興味をもって集まってくる効果があるが、成功するには、情報発信力や地域との関係性が重要であった。地域住民がこの活動に興味を持つことが、成功に大きくつながることを知った。情報発信の点では、若者とのつながりが重要であると思った。大学のために天理市に来たという学生もいるので、そのような若い人の視点に注目していくことも商店街の魅力の発信に貢献すると感じた。

1日目を終えて、宗教都市ということもあり、建築や、信仰者など見慣れないものがたくさんあった。しかし、天理教が地域社会に溶け込んでいて、天理市の人たちの生活の一部になっていることに驚いた。今まで宗教を生活の中で強く意識したことがなかったので、天理市で見たもの、聞いたことには、新しい発見が多かった。一方で、天理市以外にも宗教都市があるのか気になった。また、宗教都市でなくても、宗教と地域社会の関わりはどのようにみられるのか知りたいと思った。

ゼミ合宿 2日目     17ks  高橋さん

朝づとめ

午前6時45分から始まるおつとめに参加した。1日目に参加した夕づとめの時よりも参加人数が多く、また法被を着て参加する信者の方が大半だったため、その光景に圧巻された。ここでは「親様(おやさま)」こと、中山みきと呼ばれる教祖が示された「地場(ぢば)」を中心として、おつとめの際に「みかぐら歌」という親神さまの思し召しが書かれた歌を捧げているのだが、その歌を信者の方々で一斉に詠む姿からは、神秘的な情景を感じとることができた。

参考館

ここ天理参考館では、世界中から集められた、様々な地域や時代の数々の文化や生活に関わる資料を見ることができた。日本の資料もいくつか展示されているが、中でも土偶や青銅、三角縁神獣鏡など、以前学校の教科書で学んだ品々も展示されており、その理由として、天理市のある奈良県に多くの古墳があること、また現在もなお歴史的遺産の出土がされていることがあると考えた。このことから、宗教だけでなく歴史的にも興味深い地域であることがわかった。

稲田酒造合名会社

 午後は、稲田酒造合名会社の稲田氏から、この会社の歴史を教えていただいたり、日本酒の醸造法を実際に酒蔵を見学させていただきながら日本酒と天理市の関係について学んだ。普段入ることのできない酒蔵で、実際に発行させている様子を覗かせていただいたり、建物に染み込んだ香りに包まれたことで、日本酒が生きていることを体感するとともに、長く愛され続けている理由を理解することができた。

またこの会社は、日本酒の情報発信に力を入れていた。古くは、もともと天理教に御神酒として提供していたことから、地元の人から長く飲まれていたが、現在は国外にも視野を広げ、「ワイングラスで飲める日本酒」を醸造するなど、展開を広げている。一方で街の活性化に向けての取り組みもしており、市内の大学や大使、公報と協力して商品開発を数多く行なっていた。このような取り組みは、街の活性化につながるだけでなく、事業に関わった人々の街に対する意欲を高める効果も期待できると考えた。

天理よろづ相談所 (憩いの家)

 ここ外来診療棟では、この病院が建設された経緯と、宗教との共生のあり方について教えていただいた。ここには「事情部」という部署が存在し、医療部署と連携して天理教の信仰に基づき、患者の心身のケアを行っている。これは宗教と街が密接した関係だからこそ為せる取り組みだと考えた。そして「おたすけ活動」と呼ばれる、信仰経験の豊富な教師の病室巡回や、手紙、電話による相談にも応じている。こうした医療と宗教の共存の背景には、教祖中山みきの「宗教にばかり頼ることなく、薬を用いて人を助けよ」という言葉が影響しており、今では県内有数の高度な技術医療を誇る病院になった。このように、昔からある「信仰による病の治療の断念」という概念を打ち消し、互いに補填すべき箇所を補い合って共生している病院は日本では非常に珍しいと感じ、また患者に対する配慮が行き届いているという観点から、利用者からの信頼を感じた。

最後に

 このゼミ合宿を通して、私は宗教が街と共生していくことが可能だということを深く実感した。宗教関係で問題が多い現代で、これほどまでに宗教が街に密接していながら生活をともにできている都市を国内で今までに見たことがなかった。しかし天理教信者と無宗教の市民たちの「街の活性化に向けた取り組み」よる歩み寄りと、日常生活におけるお勤めのサイレンなどのような、昔からこの街が宗教と共生してきたことで存在する習慣があるからこそ、この街が宗教都市として成り立っているということを、改めて感じた。

 一方課題としては、「過疎化」や「市民の高齢化」、「インバウンド向けの観光業」があげられ、他の一般的な地方と同様、対策が難航していることがわかった。これに対し、県内に多く存在する古墳を生かした観光産業を発足したり、歴史的、芸術的資料が多いことから「アート」を使って情報を発信するなど、天理市にはたくさんのアピールポイントがあることを発見した。このように地域問題に宗教を除いても、新しい切り口で解決策を取り入れられることもわかり、とても意義のあるゼミ合宿になった。

ゼミ合宿 3日目 午前中     17KS 小林さん

・詰所を出発し、MoriノGuest Houseにて、地域コミュニティとの関係について伴戸氏にお話を聞き、インタビューを実施。

『MoriノGuest House』代表:伴戸忠三郎氏

「株式会社冒険の森」の事業の一環として、天理市の魅力を発信するためにつくられたゲストハウスである。

「株式会社冒険の森」…過疎化が進んだ地域で手が付けられなくなった森林地帯を、そのままの地形や樹木を活用し、森林活用型アドベンチャーパークを開発、運営することで、来場者を楽しませるだけではなく、地方創生をも目指す事業。

[以下、伴戸さんからのお話(要約)]

天理市は、天理教や天理高校の野球、天理大学のラグビーなどで有名であり、市の名前を知る人は多い。しかし、宗教やスポーツ関係者以外の人は、なかなか行く機会、興味を持つことがない。宗教やスポーツなど目立つ存在に見え隠れしている場所や物がたくさんあり、市外の人にもぜひ知ってほしいと考えている。しかし、関西に行くと京都、大阪に宿泊するケースが多く、奈良県への宿泊率が低い。さらに、天理市は、桜井市や明日香村へ行くための経由地であるため、観光消費額が低い。

天理の魅力を発信し、知ってもらい、来てもらい、泊まってもらうためには、ゲストハウスという宿泊施設が必要、という点から、MoriノGuest Houseの構想に至った。

地元農産品を使用したカフェメニューを提供したり、Fabスペースを設置して芸術、創作活動を支援したりしている。そのため、若手のアーティストが数週間泊まり込みで作品をつくることが多い。

[訪問した感想]

・アドベンチャーパークとゲストハウス、全く違うものに思えるが、人との「つながり」を意識しているこちらの会社だからこそできる事業内容であると感じた。

・森林事業も行っていることから、ゲストハウスは木材が多く使われており、木の温かみのある雰囲気があった。余った木材を薪として活用したり、木工作品を作ったりすることで資源の無駄がなく、すばらしい取り組みだと思った。

・天理大学に試合のため訪れた外国人留学生が多く滞在していた。今のところ、利用者は6:4で外国人:日本人となっているそうだ。宗教やスポーツ以外での訪問客を予想しているそうだが、依然として天理を訪れる人は圧倒的に天理教信者が多く、彼らは詰所に宿泊するため、詰所という巨大で安価な宿泊施設があるなかで、どのように魅力を発信し、宿泊者を増やすのかが観点の一つとして挙げられると考えた。

・今回訪問した施設の中で最も天理教からかけ離れている施設であったが、天理の商店街と連携が取れており、ゲストハウスで稲田酒造さんのお酒を売ったりしていた。天理教関連施設ではなくても天理の街と協力体制をとっていることがわかった。

正午

・市役所の方から「天理駅前広場CoFuFun」の施設概要を教えていただいた。駅前広場ができる前は、駅を中心として、天理教教会本部や商店街のある東側、新興住宅地のある西側が分離してしまっていたそうだ。東側の住民は天理市内で生活する一方、西側の市民は奈良市や大阪を拠点に生活しており、夜だけ天理の家に帰るという生活スタイルが多かったそうだ。しかし、駅前広場ができたことで、子どもの遊び場やおしゃれなランチができるお店ができて、西側の住民が天理にいる時間が多くなったそうだ。イベントなどを通して、天理市の住民全体のつながりが芽生えたそうだ。

この話を聞いて、ある程度大きなお金をかけて街を再構築することは勇気のいることだが、地域住民のつながりができれば天理市が受け取る利益も大きくなり、この市の場合は成功事例なのではないかと思った。お昼に駅前広場でご飯を食べたが、店内の内観がとてもおしゃれで、SNS映えすると思った。ランチタイムは多くの主婦層でにぎわっていた。

午後

天理市を後にし、奈良市にある奈良基督教会を訪問し牧師のヨハネ・井田泉氏にお話を伺った。同教会は日本聖公会に属しており、施設内には幼稚園も併設されている。

この教会の最大の特徴は、信徒宮大工の大木吉太郎氏の設計による純和風の礼拝堂があることだ。外観は和瓦葺き屋根であり、内部は吉野の檜を用いて作られている。祭壇、説教壇、聖書台、長椅子等を含めて国の重要文化財に指定されている。

もともと、今の教会がある場所は、隣にある興福寺の敷地だったが、廃仏毀釈により興福寺が敷地を少し手放した土地を教会が買ったそうだ。

興福寺の僧侶も奈良基督教会に併設している幼稚園に通っていたというエピソードも聞いた。まわりは寺社仏閣ばかりであるが、周囲との関係性も良好のようだった。

[感想]

・奈良市の大きな商店街に突然現れた和風な建物がキリスト教の教会であることにとても驚いた。和風な教会が存在することを、今回訪れるまで知らなかったし、なんとなくキリスト教は洋風のものであるため和風な教会が存在してもいいということも知らなかった。

・内部にある聖書台なども、とてもこだわって選び抜かれたものだと教えて頂き、尊厳をもってこの教会を守っている心意気が感じられた。

・面している商店街では、仏教、キリスト教、天理教の各宗教が、それぞれの祭日になるとメインストリートを練り歩くなどのイベントがあるそうで、宗教同士がギスギスせず、互いを尊重して生活するという大切さをこの地から学ぶべきだと感じた。

[全体を通しての感想]

・天理教という今まで関わる機会が全くなかった宗教を通して、日本の中でもまだまだ私にとっては未知の世界があることがわかり、カルチャーショックのような気分になった。ある宗教を熱心に信仰する日本人がこんなにたくさん見たのは初めてで、大変驚いた。商店街の人々とたくさん話をする機会があったが、皆さんそれぞれ知り合いで、違う職業、年齢層でも相互に協力してまちづくりを進めていることがわかった。天理は天理教しかないまちというイメージが世間一般には根強く浸透してしまっているが、私たちは今回3日間の滞在だけでもおいしいお店や素敵なゲストハウスなどを知ることができた。宗教以外の魅力をこれからも発信して、多くの人々に訪れてほしいと思った。そのために、これからはSNSやインターネットの力を駆使していく必要があると感じた。