第1節 レポート・論文とは何か

【この節で理解すべきこと】

  • 論証の三要素 →「問い」「論拠」「答え」
  • 論証の目的 →「誰が考えてもこうならざるをえない」という論理的説得
  • 手堅さの要件 →「論拠」のサイズにみあった具体的な「問い」
  • 文体 →基本は客観的主張と相性のよい「である調」
  • 読み手 →レポート・論文は公的な文章:想定読者は教師ひとりではない

 レポートや論文は、ほかの作文とどのように違うのか。何を目ざして書けばよいのか。何があればレポートとなり、何を欠けばレポートと呼べないのか。

 レポー卜や論文について、こうした基本的なことがらを理解している新入生は、日本の大学には多くない。当然、レポートや論文をどう書けばよいのかと不安にもなる。だがそれはこれまでに受けた日本の作文教育が論理的な文章の書きかたを適切に取り上げてこなかったからである。学生自身がなまけてきたからではない。