MIMの研修プラン

ここでは,自治体で行われているMIMの研修についてご紹介します。

前半では,地域ワイドでMIMを実践している自治体の研修の特徴について,調査結果からわかったことをまとめました。

後半は,平成23年度から市内全ての学校でMIMを実践している自治体での実際の研修内容や参加者アンケートの結果をご紹介します。

1. MIMに関する研修の回数について(自治体への調査結果より)

MIMを自治体として実践しているところを対象に調査を行ったところ,研修の年間実施数については,「年間3回」が最も多く,半数近くにのぼりました。

続いて,「年間4回以上」が全体の1/4といったように,MIMに関する研修が年度内に複数回実施されていることがわかっています。

2. MIMに関する研修の内容について(自治体への調査結果より)

研修の内容については,以下のような特徴がありました。

ステージ指導ごとに研修を組んでいる
  • 1学期の早い段階で,MIMの概論と1stステージ指導に関する研修
  • 夏休みに2ndステージ指導に関する研修
  • 冬休みに3rdステージ指導に関する研修
講義だけでなく,演習も行っている
  • 特に演習については,既に地域でMIMを実践している教員が担当する場合も多い。
  • アセスメントについても実際に体験し,ステージ指導についても模擬授業を行っている。
研修の場で,実際に教材づくりやMIMの指導案づくり等も行っている
1学期,夏休みはMIMの講義や演習を組んでいるが,2,3学期になると実践校からの報告やMIMに関する公開授業を研修に盛り込んでいる
情報交換会を研修と組んでいる
対象は様々である
  • 1年生担任全員
  • 管理職
  • 特別支援教育コーディネーター
  • 通級による指導担当教員
  • 希望者
  • 連続講座の場合は,連続して参加できることを条件としている。


3. 研修参加者によって有益とされた研修の内容について(自治体への調査結果より)

講話,演習,情報交換,公開授業等を盛り込む
  • 実際に話を聴いたり,体験したりすること
  • 模擬授業
  • 教材作り
  • 他校の実践報告,他校との情報共有,意見交換
  • パッケージ内のCD-ROMを使った実践的な演習
具体的な手立て,すぐに実践できそうな指導の仕方や教材の活用例
  • 各ステージにおける具体的な話
  • 日常的な事柄,実際の子どもを思い浮かべて,具体的支援がイメージできる内容
MIMの理論(開発の背景,ねらい,重要性,効果・有益性)
  • 早期支援,予防的支援の重要性
  • 実践に関する理論的な裏付け
  • 具体的な効果の説明
  • 支援が必要な子どもへの早期の気づきの視点と方法,解釈,重要性
  • アセスメントの有効性,活用(結果をいかに解釈し支援につなげるか)
  • ニーズのある子と同時に,中間・上位層の子どもへの対応の在り方
  • 校内での支援体制構築の重要性と方法
  • 他学年でのMIMの活用法
実践紹介
  • 実際の授業の様子や校内支援体制の紹介
  • 実際の子どもの変容
MIMを理解する上での基礎となる学習の概念・理念
  • 学習のつまずきへの対応の重要性
  • 読み書きの力の重要性や指導法

4.福岡県飯塚市でのMIM研修の実際

全国に先駆けてMIMを自治体として導入してきた「福岡県飯塚市」の実践報告です。

既に,市内全小学校での実践を行って5年が経過しましたが,以下の報告内容はその初年度のもので,研修プランの概要と,実際に参加された先生方の感想等がまとめられています。

なお,飯塚市では,市内だけでなく,広く日本中の先生方,子どもたちに貢献したいとのお気持ちから,これらの研修を県外,他地域にもオープンにし,要請があれば参加を受け入れてくださっています。

以下は,実際に飯塚市教育委員会の先生方がまとめてくださった内容です。

MIMの汎化について

飯塚市におけるMIMの汎化に際し,校長会議において下記のようなMIMの概要及び今後の予定について説明した。

「多層指導モデルMIM」は,通常の学級において,異なる学力層の子どものニーズに対応した指導・支援をしていこうとするモデルである。特に,子どもが学習につまずく前に,また,つまずきが深刻化する前に指導・支援を行うことを目指している。具体的には,1stステージとして「全ての子ども」を対象に,通常の学級での効果的な授業を,2ndステージとして,「1stステージの指導で伸びが乏しい子ども」を対象に,通常の学級内で補足的な指導を,3rdステージとして,「1stステージ,2ndステージの指導でも伸びが乏しい子ども」を対象に,個別の指導を行うものであり,最終的に全ての子どもの学びを保障していくというものである。

この指導モデルは,国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 先生の研究・実践によって検証された,科学的根拠に基づいた指導方法である。本市の取り組みは,この研究の協力市町村,協力小学校という位置付けになる。また,指導モデルの開発の基本認識(きっかけ)としては,小学生の学習のつまずきを掘り下げると,小学校1学年の読みの学習,特に特殊音節の学習のつまずきが大きく関係していると言われていることによる。

さらに,「多層指導モデルMIM」の導入は,特別支援教育の推進という観点のみならず,すべての学習の基礎である「読みの力」をすべての子どもたちに着実に育んでいくことによって,子どもたちの学力向上につながるとともに,自尊感情ややる気が低下するという,二次的障がいをも予防する上で意義がある。

そこで,本市では,小学校の時の学習のつまずきの根底にある,小学校1学年の時期に焦点化して,取り組みを進めていく。

MIMの実施に当たっては,指導方法の研修が不可欠となった。そこで,直接,MIM指導にあたる1学年の担任,並びに取り組みの意義を校内に効果的に周知するため教頭を対象にMIM研修会を開催した。

研修会の実際

本年度は,3回のMIM指導者研修会と1回のMIM実践交流会を実施した(表1)。研修会の目的は,第1学年の通常の学級において,異なる学力層の子どものニーズに対応した多層指導モデルMIMの指導・支援のあり方について理解を深め,実践的指導力の向上を図ることである。

表1 MIM指導者研修会の日程
日程研修会
5月12日(木)14:00~17:00第1回飯塚市立小学校MIM指導者研修会
8月8日(月)10:00~17:00第2回飯塚市立小学校MIM指導者研修会
11月22日(火)15:00~17:00飯塚市立小学校MIM実践交流会
1月6日(金)10:00~17:00第3回飯塚市立小学校MIM指導者研修会
1)第1回飯塚市立小学校MIM指導者研修会
(1)研修内容について 

第1回MIM研修会の対象者は,飯塚市立小学校教頭及び第1学年担任(1名)であった。研修内容等は下記のとおりである(表2)。

表2  第1回飯塚市立小学校MIM指導者研修会の内容

時程研修内容
14:10~16:20〈講話〉
『読みの学習が子どもを変える』
~通常の学級における「MIM多層指導モデル」がめざすもの~
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏
16:20~16:50〈質疑応答〉
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏
飯塚市立飯塚小学校 教諭 通級指導教室担当 杉本陽子 氏
(2)受講者の感想

第1回MIM研修会の対象者に対して受講後,アンケートを行った。以下,いくつかを紹介する。

 
本日は,貴重な研修会ありがとうございました。
学力テスト等から「読めていない」実態を実感していた。
結局は,教師の力量や意欲に負うところが多いのが現状である。
以上2点から,本日の研修内容について非常に納得できると同時に意義のあるものだと感じました。又,学校現場の大きな悩みに指導者が代わると一から出直しという現状があります。そういった意味で「共通言語としての学力モデル」という発想は新鮮でしたし,まさに求めていることでした。早速実践していこうと思っています。
(教頭)
 
とても参考になるご講義ありがとうございます。児童があきずに楽しく学習に取り組み,しかも学力向上につながる指導方法だと思います。本日参加した1年生担任も自分のクラスをイメージしながら話を聞くことができたようです。ぜひ実践したいと話し合いました。
教師は,「学力が低い」「何回言っても理解できない」「家で勉強しないから」となげき,学力が定着しないことを他に学ぶことが重要だと改めて考えさせられました。ありがとうございました。
(教頭)
 
今日は,家庭訪問中の1学年担任のピンチヒッターで参加しましたが,とても勉強になったし,得した気分です。かつて1年生をしたクラスには,数名,言葉や文字が入りにくい児童がいましたが,MIMのような指導法を早く知っていたらと思いました。
今年,学力向上コーディネーターの役もしているので,是非,1年生の先生方と一緒に取り組み,全校的な取り組みにしていきたいと思います。ありがとうございました。
(指導方法工夫改善教員)

▲表に戻る

2)第2回飯塚市立小学校MIM指導者研修会
(1)研修内容について 

第2回MIM研修会の対象者は,第1回飯塚市立小学校MIM指導者研修会を受講した教諭及び講師と教頭及び飯塚市立小学校第1学年担任で希望する者である。研修内容は,下記の通りである(表3)。

表3  第2回MIM指導者研修会の内容

時程研修内容
10:10~12:00 〈講話〉
『読みの学習が子どもを変える:先生も子どもも楽しい授業』
~1stステージ指導,MIM-PMの実施を振り返って~
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏
13:00~14:30 〈演習〉
『2ndステージおよび3rdステージ指導について』
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏
飯塚市立飯塚小学校 教諭 通級指導教室担当 杉本陽子 氏
14:45~16:30 〈協議〉
『MIMをしてきて感じたことを共有しよう:2学期に向けて』 
①グループ  
②全体
16:60~16:50〈質疑応答〉
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏
飯塚市立飯塚小学校 教諭 通級指導教室担当 杉本陽子 氏
(2)受講者の感想

第2回MIM研修会の受講者のアンケートを以下に示した。

 
今回の研修会では,2ndステージで行うカードの具体的な指導が体験を通すことで明確に伝わり,価値ある時間を過ごすことができました。子どもたちの生き生きと学習に参加する姿を想像することができたので,早く実践したくなりました。充実した教材をどう生かし限りある時間の中で,有効な手立てをとっていくかが課題なので,学校全体で協力して取り組んでいきたいと思います。今日一日ありがとうございました。次回を楽しみにしています。
(1学年担任)
 
グループの話し合いで,各学校で一学期の取り組みの様子を伺いたくさん参考になることがありました。一学期は,動作化等しながら楽しみながら言葉の学習としてMIMに取り組んだだけでした。二学期は,今日の研修会で学んだことや各学校の取り組みを参考にしながら,すき間の時間や朝自習時間等を活用しながら,こつこつと取り組んでいきたいと思います。
今日の研修会は,海津先生の講話も杉本先生の演習,グループ討議ともに役立つことばかりでした。杉本先生が楽しい雰囲気で学ばせ,活動させてくださっている姿を目標にしながら,1stステージ,2ndステージ,3rdステージの指導にも取り組んでいこうと思います。
(1学年担任)
 
今日,初めて海津先生や杉本先生の話を聞いてMIMの必要性や大切さや指導法を楽しく研修できました。前回は,家庭訪問と重なり研修会に参加できなかったのを残念に思いました。
二学期は,2ndステージを今日の研修を生かしてがんばっていきたいと思います。1stステージでは,上位の子どもの伸びが大きく,下位の子どもたちの点数が伸びませんでした。それは,文字を読む力,書く力がまだついていないためだと思っていましたが,それだけではないということがわかりました。語い力がない子どもたちの伸びが少ないので,語い力をつけるゲーム(本日研修した)を取り入れ,楽しく語い力をつけていきたいと思います。
久しぶりに1年生を担任して毎日が楽しく,生活しています。楽しいだけでなく,子どもたちに学力もつけていきたいと思います。そのためにもMIMの取り組みは,文章を読み取る力をつけるためにも必要だと感じています。今日はありがとうございました。
(1学年担任)
 
指導方法工夫改善教員として一学期は1年生3クラスのひらがな指導をT1として行いました。5月にMIMの第1回研修を受け,促音指導,拗音指導の際に学んだことを取り入れてみましたが,正直「これが成果だ!」と感じられる程の実践はできませんでした。ただアセスメントテストを通して支援を必要とする児童がはっきりしたし,アセスメントテストの「正確な語の認知」「語のまとまりの認知」という内容はとてもすばらしいと思いました。本日第2回研修をしていただいたことで二学期以降に取り組んでいかなければならないこと,またその方策について大きな大きなヒントを得ることができました。
一学期は清音,促音,長音,拗音をひととおり学習することで精一杯で,文字の獲得が不十分な児童について,実態はつかんでいるものの有効な手立ては,ほとんどとれていないのが現実です。
二学期からは今日の研修で学んだ2ndステージ,3rdステージをしっかり実践していきたいと思います。明日からの実践に即役立つすばらしい研修でした!本当にありがとうございました。
(指導方法工夫改善教員)
 
一学期は毎月のテスト準備や採点のみのかかわりしかできませんでしたが,今回の研修を受けさせていただいて,二学期からの具体的な取り組みが分かってきました。1年生各クラスとも2nd,3rdステージの子どもたちがまだまだ多数いますので,担任の先生方と協力しながら,TT教室を活用して今回の演習で学ばせていただいた様々な指導内容を楽しく展開してみたいと考えています。
ちょっとした時間と人の活用では,2年生の子どもたちとのペアで,1年生も2年生も同時に力がつくように仕組んでみようと思います。またゲーム的な要素を取り入れながら朝読の時間や給食準備の時間,帰り前の少しの時間も有効に使ってみたいと思いました。ありがとうございました。
(指導方法工夫改善教員)

▲表に戻る

3)飯塚市立小学校MIM実践交流会
(1)研修内容について 

MIM実践交流会の対象者は,第1回飯塚市立小学校MIM指導者研修会を受講した教諭及び講師と飯塚市立小学校で希望する者である。今回は,研修内容が実践発表であるため,実践発表者による事前の打ち合わせ会を持ち,①実践発表の内容について,②テーマについて,③準備物等について,確認を行った。また,事前の打ち合わせ会に際し,実践発表者に発表内容の例を示し,実践発表のプロットの準備を依頼した(表4)。

表4  MIM実践交流会での発表の内容

実践発表者発表内容例
教   頭校内推進体制
校内研修(どのように校内研修を企画し,実施したか)MIMの日常化(早口言葉の取り組み)MIM-PMテスト管理(テストの実施と結果をどのように活かしたのか,活かそうとしているか)
単学級担任学級での取り組み
MIM実施計画(いつ,どの時間に,どの内容を指導するのか)実施(1st,2ndステージをどのように指導したのか)評価(指導上のうまくいったことやうまくいかなかったこと,MIM-PMテストの結果)改善(評価を受けてどのように学年の推進計画を見直し,変更したのか。実践したのか)
複数学級担任学年での推進の取り組み
学年の推進計画(いつ,どの時間に,どの内容を指導するのか。どのように学年で取り組んでいこうとしたのか)実施(1st,2ndステージをどのように指導したのか)評価(指導上のうまくいったことやうまくいかなかったこと,MIM-PMテストの結果)改善(評価を受けてどのように学年の推進計画を見直し,変更したのか。実践したのか)
指導方法工夫改善教員配置校TT授業での取り組み
TT授業の計画(どの時間に,どの内容を,どのような役割で指導するのか。指導方法工夫改善教員としてどのように関わるようにしたか)実施(1st,2ndステージをどのようにTTで指導したのか。どのように関わったか)評価(指導上のうまくいったことやうまくいかなかったこと,MIM-PMテストの結果)改善(評価を受けてどのようにTT授業計画を見直し,変更したのか。実践したのか)

研修内容は,下記の通りである(表5)。

表5  MIM実践交流会での発表の内容

時程研修内容
15:10~16:10  〈実践発表〉
『校内推進体制について』
飯塚市立目尾小学校 教頭 垂水陽子 『学級での取り組み』
飯塚市立目尾小学校 教諭 伊東佳子『学年での取り組み』
飯塚市立若菜小学校 指導教諭 江藤涼子『TTが関わった取り組み』 
飯塚市立潤野小学校 教諭 川原田佳世
16:10~16:30〈講話〉
『飯塚市立小学校MIM実践について』
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏
16:30~16:50〈質疑応答〉
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏
飯塚市立飯塚小学校 教諭 通級指導教室担当 杉本陽子 氏
(2)受講者の感想

MIM実践交流会終了後の受講者のアンケートを以下に示した。

 
各学校の実践交流会のおかげで具体的な取り組みが分かりました。今回の内容は,特殊音節に楽しみながら学習していくことがメインだったように感じました。私は,視覚化と動作化を基本に,ちょっとプリントなどを家庭学習に入れたり,主に書くことを中心に行ってきました。しかし,掲示物として取り入れたり,カードを日常的に手に取れるようにしたりと自然に学習できる環境も必要なんだと気づきました。今後は,楽しみながら身につく学校独自の取り組みを考えていきたいと思います。本校は1学級しかないので偏りがちな指導が不安でしたが,今回の交流で解消されました。とても勉強になりました。すぐ準備に取りかかりたいと思います。ありがとうございました。
(1学年担任)
 
MIM研修会のたび,よい刺激を受けて学校・子どもたちに返すことができます。今日の各学校の発表では,校内でだれが何をするのかを整理し,実践されていることがすばらしいと思いました。2nd,3rdの子どもたちがこれから少しでも伸びるよう指導していきたいと思います。
(1学年担任)
 
各学校での様々な取り組みの工夫を聞かせて頂く事ができ,大変参考になりました。校内での協力体制づくりの必要性や共通理解の大切さを感じながらも,日々の忙しさに追われて他学年や特学へと広げていくことはまだまだできていない現状ですが,来年度に向けて準備を行っていきたいと思いました。子ども達が楽しみながらMIMを通して学力を向上させ,読みのつまずきを解決していけることを担任の先生方といっしょに感じながら,今後の取り組みをさらに進めていきたいと思いました。3学期に向けて,または来年度に向けて本日聞かせていただいた各校の発表を参考にしながら学年や特学の先生方と楽しみながら準備をしていきたいと感じました。
(指導方法工夫改善教員)
 
今日すぐ作ってみたいと思う教材・教具!明日すぐに実践してみたい授業や取り組み!本当に貴重な実践をたくさん聞く事ができ,これ以上ないほど充実した研修会でした。ぜひ実践したい!とやる気いっぱいになれる研修会は,めったにないので本当に有意義でした。ありがとうございました。
(指導方法工夫改善教員)

▲表に戻る

4)第3回飯塚市立小学校MIM指導者研修会
(1)研修内容について 

第3回MIM研修会の対象者は,飯塚市立小学校第1学年担任及び飯塚市立小学校で希望する者である。研修内容は下記のとおりである(表6)。今回も,研修内容に実践発表を設定しているため,実践発表者による事前の打ち合わせ会を持った。

表6  第3回MIM指導者研修会の内容

時程研修内容
10:10~10:55 〈実践発表〉
飯塚市立頴田小学校   教諭 西森千香子
飯塚市立飯塚東小学校  教諭 上村冨士子
飯塚市立庄内小学校   教諭 倉持 涼子
10:55~12:00〈講話Ⅰ〉
『飯塚市立小学校MIMプロジェクト2ndステージ指導を振り返って』
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏〈協議Ⅰ〉『各学校における2ndステージの成果について』
①グループ協議 (異なる学校の先生同士で)
②全体協議
13:00~14:35   〈講話Ⅱ〉 
『3rdステージ指導に向けて』
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏〈講話Ⅲ〉
『3rdステージ指導の実際』
飯塚市立飯塚小学校 教諭 通級指導教室担当 杉本陽子 氏
14:45~16:45〈協議Ⅱ〉
『3rdステージ指導を充実したものにするために』
①グループ協議 (同じ学校の先生同士で)
②全体協議〈講話Ⅳ〉
『飯塚市MIM事例集をまとめるにあたって』
①事例集の趣旨の説明 国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏
②学校ごとに協議
16:45~16:55 〈質疑応答〉
国立特別支援教育総合研究所 主任研究員 海津亜希子 氏
飯塚市立飯塚小学校 教諭 通級指導教室担当 杉本陽子 氏
(2)受講者の感想

第3回MIM研修会の受講者のアンケートを以下に示した。

 
毎日少しずつ取り組みを続けているものの,やはりなかなか厳しい子どもたちは,3rdステージ対象からは抜け出すことができない状況である。今日,他の学校の実践報告を聞いたり,グループ協議をしたり午後から3rdステージ指導の演習をしたりするなかで,「これは,できそうだ!」とか「これをやれば!!」という教材にたくさん出会うことができた。特に「3つのことばに分ける」については,どう指導したらよいのかと悩んでいたので,これからの指導のヒントになった。さっそく今日のおみやげ教材で教材を作って,3学期取り組んでいきたいと思う。
(指導方法工夫改善教員)
 
本日は貴重な研修の機会を与えていただき本当にありがとうございました。実践発表をさせていただいたことも,これまでの本校の実践を見直し課題を整理する上で大変よい機会となりました。そして,何よりこれから3rdステージに進んでいく上で具体的な示唆を与えていただいたことが何よりの大きなお土産となり「来てよかった!!」と心から思いました。本校は来年度へ確実につないでいくために本日は6名で参加しましたが,3rdステージに向けての具体的な計画をかなり詳細に立てることができ,現在やる気満々です。海津先生や杉本先生に示唆をいただいた実践や教材を大いに活用して3rdステージの実践を進めていくつもりです。
語いの不足の課題をどうしたらよいだろうと悩んでおりましたが,杉本先生が「語いが不足しているからMIMができないではなくMIMをつかって語いをふやしていけばよい」といわれたのが,目からうろこで本当にそうだなと思いました。そのための教材も本当にありがたかったです!本当にありがとうございました!3学期は今日の研修をいかしてしっかり頑張ります!
(指導方法工夫改善教員)
 
第4回目の研修会に参加させていただきありがとうございました。今回も3校の実践発表をお聞きすることができ,大変参考になりました。また,杉本先生にも即教材として使える資料をたくさんいただきとてもありがたいです。この3連休でいくつか教材作りができるなとわくわくしています。
2学期,MIM-PMテストで子どもたちが前よりたくさんできたー!!とうれしそうにしている姿を見ることができ,私もうれしい気持ちになりました。3学期も3rdステージで一人ひとりの子どもたちと楽しく頑張っていきたいと思います。本当に実のある研修会で勉強させていただきありがとうございました。
(1学年担任)
 
海津先生,杉本先生,本日もありがとうございました。3学期に行う3rdステージの取り組みをどのようにすればよいのかということがよくわかりました。海津先生からは,だいたいどのように考えて指導すればよいのかということ,杉本先生からは具体的にどのように指導していくのかをお話していただきました。教材集もいただき,やり方も教えていただいたので3rdステージの見通しをもつことができました。やはり,手立てをうたないと子どもたちのつまずきをとりのぞくことができないなーと思いました。レットゾーンにいる子どもは,苦手意識をもっているので楽しいゲームを通して苦手を克服し生かしたいと思いました。3学期は,子どもたちの指導をがんばっていきます。
(1学年担任)
 
各学校の実践を聞かせていただき,アレンジして教材を活用することやどのようなすきまの時間を使ったらいいのかがわかり参考になりました。たくさんの実践を紹介していただき,その中から本校の3rdステージの子どもに合っているものを選ぶことができました。早速3学期始まってすぐに準備にとりかかりたいと思います。
新学期が始まってしまうと,なかなか集まってじっくり打ち合わせをする時間がないので,今日話し合う時間ができてよかったです。3rdステージの子を何とかしたいと思います。0にできなくても個人の伸びのあるように取り組んでいこうと思います。研修の機会をいただきありがとうございました。
(1学年担任)
 
前回の夏休みの研修を受けて,夏休みに教材作りを少しし,運動会後から,朝学習での「3つの言葉」を始め,月3回程度TTによるMIMの授業を行ってきました。まだ2ndステージの子への個別指導等ほとんどできていない状態での今回の研修で,他校の取り組みの様子がわかり勉強になりました。
いよいよ3学期となり3rdステージの指導に入っていく段階となり,具体的な指導法を教えていただき,また校内,学校ごとに今後の取り組みについて話し合う時間も設定していただき,有意義な研修会となりました。
飯塚市全体での1年生対象のMIMの実施,時期ごとの研修会ありがたいと思っています。また毎月のMIMテストの結果について平均点やマーカーだけでも客観的に分かりますが,クラスごとにコメントまで書いていただき担任の励みにもなりました。ありがたいです。
(福岡県飯塚市教育委員会)

▲表に戻る