MIMを表す3つの要素があります。
1つは,「通常の教育と特別支援教育との融合」です。これは,MIMが,通常の教育を代表する教科教育的な視点を有しながら,個々の教育的ニーズを把握するアセスメントを基に,指導教材や形態等,柔軟に対応していく特別支援教育の視点を融合していることです。これらの融合が,授業を無限に豊かに高めていく際のカギにもなります。
2つめは,「先生にとって共通言語としての学力指導モデル」です。通常の学級で授業を行う場合,先生方の多くは,全体への効果的な指導をいかになし得るかに重点を置いています。同時に,特別な配慮が必要な子どもへの支援も忘れてはいません。しかし,配慮が必要な子どもへの支援という概念はあまりにも曖昧であり,支援の実現に向けては,先生の力量や,意識,モティべーションに委ねられてしまうことも少なくありません。極論すれば,これらをめざすもめざさないも,先生次第ということにもなりえます。
しかしMIMでは,1stステージ,2ndステージ,3rdステージという概念の導入により,今,子どもの支援ニーズは,どの状態にあるかを的確に把握することができるようになっています。また,他の先生方と協議する際にも,これらを共通言語として用いることで,必要な指導・支援のイメージを共通にもつことができます,「特別な配慮が必要な子ども」という漠とした対象が,「3rdステージ(=最終指導段階)までに効果的な指導を届ける相手」という明確な目標を携えた対象に変わっていくのです。
これら共通のイメージは,3つめに挙げるのは,「通常の学級におけるパラダイムチェンジ」です。これは,上記2つの総括といってもよいかもしれません。「個」に対応できることは,すなわち,それを含む「全て」への対応につながること,MIMという学力指導モデルを共通言語として用いることにより,子どもの支援に関する議論を活性化し,子どもを中心としたチームでの支援につながっていくと考えています。