MIM-PM(Multilayer Instruction Model-Progress Monitoring)は,学習が進んでいくに連れ,つまずきが顕在化する子どもを,つまずく前の段階で把握し,指導につなげていくためのアセスメントです。全ての学習領域に影響し得る早期の読み能力,特に特殊音節を含む語の正確で素速い読みに焦点を当て,計2分で実施します。集団でも実施することができます。また,一度でなく,継続的に実施することで,子どもが真の能力を発揮する機会が多く得られるとともに,子どもの伸びについても把握できます。
構成は,テスト①「絵に合うことば探し(3つの選択肢の中から絵に合う語に丸をつける課題)(図2)」とテスト②「3つのことば探し(3つの語が縦に続けて書いてあるものを素速く読んで,語と語の間を線で区切る課題)(図3)」の2部。テスト①では,正しい表記の語を素速く認識できる力をみています。正答以外の選択肢には混乱しやすい要素が入っています。具体的には,形態の類似(例:は-ほ),濁点・半濁点の有無(例:うさぎ-うさき),順序の入れ替え(例:りんご-りごん),音韻の類似(例:だいこん-らいこん),長音(例:ぼうし-ぼおし),促音(例:きって-きて-きつて),拗音(例:いしゃ-いしや-いしゅ),拗長音(例:きゅうり-きゅり-きゅーり),注意の問題(例:カニの絵→かめ,いか )等です。問題は,清音,濁音・半濁音,長音,促音,拗音,拗長音,カタカナが1サイク ルとなり,それが5サイクル続いています。
テスト②は「3つのことば探し」で,3つの語が縦に続けて書いてあるものを素速く読んで,語と語の間を線で区切る課題です(例:「いぬはないちご」→「いぬ|はな|いちご」)。これは,(逐字ではなく)語を視覚的なまとまりとして素速く認識できる力をみるものです。日本語の文章では,単語間にスペースがないので,読みにおいては,まずは正確で速やかな単語認識の力が必要とされます。「3つのことば探し」も,清音,濁音・半濁音,長音,促音,拗音,拗長音,カタカナで1サイクル,計5サイクルで構成されています。
尚,テストの最後には,「みんなのこときかせて」という質問に答えることになっています(「問題は難しかったか」「問題は楽しかったか」「この前と比べて得意になったか」「読むことが好きか」「読むことが得意か」)。MIM-PMの得点と合わせて,こうした子どもの自分自身の読みに関する思いを聞くことは,その後の指導・支援を進めて行く際にも非常に参考になります。