第3節 レポート添削のあらまし

【この節で理解すべきこと】

  • よい書き手はばぼ例外なく他人に原稿を手直しされた経験をもつ
  • 与えられた課題を理解せず、漫然と提出するだけのレポートは添削に値しない
  • 添削にはいくつかの記号を用いるばあいがある
  • この授業での添削は、正解を示す「校正」や「推敲」ではない
  • 書き手を傷つけないように配慮しすぎた添削は、結果的に不親切である

 他人に自分の原稿を直される経験なしに、よい書き手になる人は稀である。叙述 のどこにどのような問題があるかは学習者ごとに異なる。原稿の上に赤ペンで書き 込む添削指導は、改めるべき具体的問題を一人ひとりに伝える優れた方法と言える (「アカデミックリテラシー1」では、課題に即して履修者が書いたレポートを、そ れぞれの教室担当者が添削する)。添削に応じた手直しを重ねることで、学習者は 自分の文章がよくなって行くのを実感しながら、問題点を乗り越えられる。

 与えられた課題を理解せず、指示を守らないレポートを、添削でよくすることは 非常に難しい。添削指導は履修者にもたいへんな負担をかけるが、添削する文章を 挟んで、教員も執筆者一人ひとりと向かい合う心境である、ということを忘れない でほしい。もちろん課題にこたえることは、添削の有無にかかわらない、レポート の必要条件である。