3.どのような添削が親切か

 原稿の書き手が傷つかないよう配慮した添削が、親切だとは考えてはならない。 【例1】の添削は非常に事務的だが、そこでハッキリと伝えるべきことを伝えている。直すべき問題点があいまいであれば、【例2】のような書き直しは不可能である。自分の書いたものにケチがつくことに慣れるまでは、そう考えることは簡単ではないが、ハッキリしたコメントが増えれば、それだけよい書き手になるチャンスは拡がる。

 添削やコメントには、原稿の真意を捉えきっていない、書き手にとって心外な部分がほぼ常に見つかるだろう。添削者に真意が届きにくい初心者の文章ではなおさらである。なぜ「誤解」されたかまで考えなければ、叙述力は仲びない。一見して納得できる手直しや注意が3割を超えていたら、高打率のすばらしい指導者にめぐりあったと考えてよい。添削される原稿の完成度が上がるほど、行き違いは減る。 書き手の人格を否定するために添削する教師はいない。