第4節 段落の構成法(パラグラフ・ライティング)

【この節で理解すべきこと】

  •  書き手は次のひと言と同時に、文章全体の組み立てを考えなければならない
  •  パラグラフ(段落)は論理的なまとまりをもつ議論の単位である
  •  ひとつのパラグラフに、トピックはひとつしか入らない
  •  トピック・センテンスはパラグラフの冒頭に置く
  •  トピック・センテンスは、レポートのアウトラインとならなければならない

 文章の長さがある程度を超えると、頭に浮かぶことばを次つぎに文字にして結論にたどり着くことは、ほぼ不可能になる。次のひとことを考えている時、書き手の視野に入るのは、ふつういま書いているセンテンスの前後、わずか2〜3行にすぎない。文章全体のゴールがどこか、今どのルートで何の作業をしているのかを常に意識することは、経験を積んだ書き手にも簡単なことではない。

 レポートにかぎらず長文の書き手は、次のひとことを探す作業と、文章全体を組み立てる作業を両立しなければならない。会心のひとことが次つぎにひらめいても、全体の構成にまとまりがなければ、主張は伝わらない。足もと一歩一歩の判断だけで高い山には登れず、一手一手の得失だけでは将棋に勝てないようなものである。視野のサイズが違う局所的作業と大局的作業を両立しなければならない。

 レポートなどの論証型の文章を構成するさい、局所的作業と大局的作業を両立するスキルとして非常に学びやすいのが、本節に示す「パラグラフ・ライティング」(paragraph writing)である。欧米ではレポート技術の教育がさかんだがヽ中でもこのスキルは英語圈で標準化され、しばしば小学生にも教えられる。日本ではまだ一般的ではないが、論証型の文章を書くかぎり、言語を問わず使える技術である。