4.パラグラフのつながり(パラグラフから節へ)

以上から分かるように、パラグラフは何となく一休みすみするための息つぎマークではなく、論理的なまとまりを持つ単位である。ひとつひとつのトピック・センテンスの主張にまとまりがあれば、前後のパラグラフとの論理的な関係もはっきりする。逆にトピック・センテンスの主張があいまいだったり、必要なことばを惜しんだりすると、パラグラフのつながりが失われ、ぶつ切れになる。

 これを防ぐには、前後のパラグラフにまたかって論じられるキーワードをトピック・センテンスから取りこぼさないことが重要である(【例2】のトピック・センテンスで「学力低下」というキーワードを確認すること)。そのパラグラフがレポート全体でどういう役割を果たしているのかを考えれば、トピック・センテンスに必要なキーワードの取りこぼしを防げる。とくに直前直後のパラグラフに共通するキーワードや、いくつかのパラグラフからなるまとまり(節や章)のキーワードの取りこぼしを防ぐように意識するだけで、文の流れはかなりよくなる。

 つぎに外せないのが、論理的な関係を示す接続語である。これにはたとえば、「第二に」「この結果」「同様の理由から」「なぜなら」「具体的には」「一方」「これに比べ」「これとは反対に」「例外として」などがある。トピック・センテンスやサポート・センテンスの書き出しにこうした接続語を置くと、パラグラフとパラグラフの関係、トピック・センテンスとサポート・センテンスの関係がはっきりする。「また」「だが」など、あいまいな接続詞ばかりのレポートは、ほぼ例外なく論理の流れに混乱がある。

 パラグラフのつながりが明確になると、いくつかのパラグラフからなる主張のまとまりも見えてくる。このまとまりがとなり、節のまとまりがとなる。パラグラフと同じように、節や章も文章の見通しをよくする。ふつう節や章には、通し記号と簡潔なタイトル(小見出し)をつける。章や節の通し記号には、日本式と英米式があり、混用することもあるが、分野ごとに様ざまなスタイルがあるので、出題者の指示にしたがうこと。一般的な例を【表1】に示す。

【表1】レポートや論文で一般的な章や節の通し記号

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 たとえば3,600〜4,400字の期末レポートのばあい、イントロダクション(はじめに)と結論(おわりに)をのぞいて2つから4つ程度の節、全体で15ほどのパラグラフができるのが標準的である(普通この長さではまだ章立てとはしない)。