4.出典表示を繰り返さず、他人の言葉の範囲を明示する工夫

 なお一点おぎなうなら、原則どおりには、【例4】の最終センテンスにも出典を表示すべきである。だがこのセンテンスは「ここで彼は…」となっているので,引用元が先の引用と同じ箇所であるのは自明である。「ここで彼は…ことを提案する」という書き方でなければ、このセンテンスの最後にも「(同,p.26)」または「(同上〕」という出典表示が必要である。さもなければレポートの筆者は、アンダーソンの主張を自分のアイディアとして横取りしたことになるからである。

 「ここで◯◯は…」と同じように、「◯◯はこれに続け…」「さらに◯◯は…」「◯◯はこの点を補足し…」などのことばで、1センテンスごとに間接的に出典を示せば、議論の流れを止めながら丸括弧の中にくどくどと同じ出典表示を繰りかえすことなく、借りもののアイディアの範囲をハッキリ示すことができる。