2.事典・辞書検索

 百科事典や専門事典は、調べるテーマの要点やおよその全体像を手ぎわよく解説するうえ、研究史や参考文献など、理解を深める手掛かりを示すことが多い。また、意味が分からない用語や理解が曖昧な概念があれば、国語辞典や外国語辞典で意味を確認することも大切である。自分が用いる言葉を明確にすることは、他者を説得する論証型の文章を書く前提となる作業である。

 今日では数多くの辞書類が電子化され、オンラインで利用できるようになった。その特長である複合検索や横断検索は、紙の辞書では実現困難な検索をも可能にする。こうしたサービスをうまく利用して、必要な情報を効率的に得られるようにしたい。こまめに辞書類にあたって調べる習慣は、かならず書き手を成長させる。

 ここでは辞書類の複合検索サービスであるJapan Knowledge Lib (ジャパンナレッジ・リブ)を中心に紹介する。明治学院大学では図書館がこのサービスと契約しているので、図書館のコンピュータなど学内端末からの利用は無料である(情報センターに申請すれば自宅利用も可2)。 Japan Knowledge Libを利用するには、図書館トップページの「蔵書・情報検索」を選び、データベースへのリンクの「目的別」欄から「辞書・事典を引く」を選択する(図4-1,4-2)。

 Japan Knowledge Lib にログインすると、検索画面が現れる(図5)。調べたい語を検索窓に入力して「検索」ボタンを押せば、すべての収録コンテンツを対象にした一括検索ができる。また、画面右側のコンテンツ一覧のチェックボックスを選択・解除すれば、検索対象のコンテンツを指定することもできる。以下では主要な収録コンテンツをジャンル別に紹介しよう。

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a.百科事典

 小学館が刊行する『日本大百科全書(ニッポニカ)』を収録する。見出し項目は約13万、総索引語は約70万にのぼり、関連する項目やサイト、参考文献の情報も充実している。各項目には執筆者名が明記され、レポートや論文に引用する際に典拠を示すことができる【第1節・3】。近年では簡便さからオンライン「百科事典」を標榜するWikipedia (https://ja.wikipedia.org/wiki/)の利用者も急増した。しかし編集方針が一貫せず誰もが記事を書き換えられるため、良心的な記事がある一方で信頼性や公平性に欠ける記事も目立つ。このためWikipediaは大学のレポートや論文で参照するには相応しくない

b.日本語に関するもの

 『日本国語大辞典第二版』は最大規模の国語辞典で、総項目数50万、用例数100万を収録する。豊富な用例に加えて「語誌」「語源説」「方言」等の情報が添えられ、言葉の成り立ちや意味や用法の変遷、使用地域を知ることもできる。このほ74アカデミックリテラシー・ハンドブックか、現代の用法を重視した『デジタル大辞泉』(小学館)、漢字字典の『字通』(平凡社)等を収録する。

c.英語に関するもの

 日本最大級の英和辞典である『ランダムハウス英和大辞典第2版』は34万5,000語を収録し、用例も17万5,000にのぼる。地図や図版を多数収録するなど、百科事典的要素も強い。このほかに『e−プログレッシブ英和中辞典』、『プログレッシブ和英中辞典』、学習者向けの英英辞典として定評のある『コウビルド米語版英英和辞典』『CAMBRIDGE英英辞典』等を収める。

d.その他

 Japan Knowledge Lib は他にも独・仏・西・伊・羅・中・韓の各国語辞典、時事用語・時事問題に強い『情報・知識imidas』(集英社)、『現代用語の基礎知識』(自由国民社)、『日本人名大辞典』(講談社)、『国史大辞典』(吉川弘文館)、『世界文学大事典』(集英社)、『法律用語辞典第4版』(有斐閣)、『デジタル化学辞典第2版』(森北出版)、全文検索機能を備える『東洋文庫』(平凡社).『新編日本古典文学全集』(小学館)など多数のコンテンツを収録する。

e.とはいえ電子媒体辞書も万全ではない

 多数の辞書コンテンツを一括検索できるJapan Knowledge Lib の機能はもちろん最大限に活用したい。しかし、大学のレポートを書くさいに、こうしたサービスのみの検索で済ませられると考えてはならない。デジタル化されていない辞書類も多く、紙の辞書類を引く作業は依然として重要である。

 特に各学問分野の専門辞書ではその必要性が高い。たとえば、『岩波哲学・思想事典』(岩波書店)、『社会学事典』(弘文堂)、『新社会学事典』(有斐閣)、『心理学辞典』(有斐閣・CD-ROM版あり)、『政治学事典』(弘文堂)、『国際政治事典』(弘文堂)、『日本近代文学大事典』(日本近代文学館)などは執筆陣に定評がある。また『世界大百科事典』(平凡社)も明治学院大学図書館ではデジタル版を導入しておらず、刊本体の事典を積極的に活用したい。


2 学外からのアクセス方法は、図書館トップページの「ご利用案内」→「各種申込書」→「SSL-VPN利用申請書」を辿ると現れる「SSL-VPN利用マニュアル」で詳細を確認のこと。