手を抜いた題名(タイトル)は、レポート全体の第一印象を致命的に損なう。出題文の丸写しやテーマの見当もつかないタイトルは、禁じ手である。 レポートでは「結論とする主張」を、キーワードを落とさず簡潔に言い切るのが基本である(一方、卒業論文のような長い論文では取りあげるテーマや方法論を題名とするものが多くなる【→コラムB】)。 結論型タイトルにも善し悪しがある。主張の核心に触れないタイトルや論拠を欠く意見に見えるタイトルは、のっけから読者を失望させる。たとえば「財政再建のため消費税引きあげが避けられない」と主張するレポートを書くとしよう。
・まずいレポート題名の例:
a)消費税増税の必要性(テーマ放置型) ←が、どうした? b)消費税増税は必要か(ミステリー型) ←どっちだ? c)消費税を増税しよう(スローガン型) ←勧誘ですか?
・よいレポート題名の例:
d)財政健全化のため消費増税が必要である ←命題型 e)財政健全化のため求められる消費増税 ←動詞を使わず命題型を簡潔化
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基本は d)のような「○○は○○である」という命題である。また命題型の主張はたいてい、e)のように名詞句のかたちで簡潔に示せる。また、例の「財政健全化」のようにひとこと主張の理由を示すと、読者は論証の輪郭をつかみやすくなる。 レポートでぜひ試してほしいのが、副題を添える「二名法」である。ふつう副題は全角2文字のダッシュではさむ。主題十副題の組み合わせは、断定十説明、一般論十各論、抽象論十具体論、問題十解決策などのパタンとなることが多い。
・「二名法」タイトルの例:
f)消費税増税で財政再建を一他の税目と比較したその長所一 ←断定十説明 g)財政再建に不可避の増税一生活必需品をのぞき消費増税を一 ←一般論十各論 h)痛みなき財政再建はない一消費税率を先進国水準に一 ←抽象論十具体論
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結論型タイトルで何を言うか迷うようなら、論証のどこかに決定的な問題が潜んでいる恐れがある。またことば数の少ないタイトルでは、俳句、新聞の見出し、広告コピーなどと同じく、とことん無駄を削り、表現を練るよう心がけよう。
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